社内起業家(イントレプレナー)として成功するためには、生まれつきの特別な才能が必要なわけではない。むしろ、挑戦を続ける中で後天的に身につけられる6つの能力が重要だと、カイハン・クリッペンドルフは著書『Driving Innovation from Within』で指摘している。グロービス経営大学院特任副学長の田久保善彦教授が解説する。
革新性:市場が求める価値を探し続ける姿勢
第1の能力は「Innovativeness(革新性)」だ。これは単に奇抜なアイデアを思いつくことではなく、顧客や社会が求める価値を探し続ける姿勢を意味する。多くのイントレプレナーは、仮説を立て、顧客に話を聞き、検証を重ねながらアイデアを磨いていく。この継続的な探求姿勢こそが革新性の本質である。
市場認識:外部環境の変化と自社の強みを結びつける
第2の能力は「Market awareness(市場認識)」だ。新規事業では、市場の変化を敏感に察知し、自社の強みと結びつける力が欠かせない。この力は経験を積む中で鍛えられる。イントレプレナーは業界外の情報や顧客の声に触れながら、顧客の潜在的な課題や自社の強みを再発見し、新しい価値に変換している。
積極性:指示を待たずに自ら動く
第3の能力は「Proactivity(積極性)」である。新規事業では既存のノウハウや経験だけでは判断できない場面が多く、自ら動く姿勢が求められる。初めての挑戦では積極的に動けないことも自然だが、多くのイントレプレナーは小さな行動を積み重ねる中で自信を得ていく。最初の一歩は小さくても構わない。動けば次の景色が見えてくる。
リスクへの戦略的アプローチ:リスクを理解し工夫して進む
第4の能力は「Strategic approach to risk(リスクへの戦略的アプローチ)」だ。新規事業では「リスクばかりを語る上司が承認してくれない」「前例がないことに協力が得られない」という壁にぶつかる。そこで必要なのは、リスクを避けるのではなく、どうすれば低くできるかを考える力である。多くのイントレプレナーは、小さな実証や外部の協力を活用しながら、上司や周囲が判断しやすい形に工夫して進めている。



