EVシフトの陰で急拡大するガソリン車市場、新興国需要が牽引
EVシフトの陰で急拡大するガソリン車市場

世界のガソリン車販売が過去最高を更新

世界的なEV(電気自動車)シフトの流れが加速する一方で、ガソリン車の市場が新興国を中心に急拡大している。調査会社マークラインズのデータによると、2023年の世界のガソリン車販売台数は前年比5%増の約9000万台に達し、過去最高を記録した。特にインドや東南アジア諸国での需要が顕著で、これらの地域での販売は前年比10%以上増加している。

新興国市場の牽引力

インドでは2023年の新車販売のうち約95%がガソリン車で、販売台数は約400万台と過去最高を更新。同国政府の補助金政策や低いガソリン価格が需要を支えている。東南アジアでもインドネシアやタイでガソリン車の販売が好調で、タイ自動車工業会によると、2023年のガソリン車販売は前年比8%増の約80万台に上った。

これらの地域ではEV用充電インフラの整備が遅れており、ガソリン車の利便性が高いことも需要拡大の要因だ。さらに、ガソリン車の価格がEVに比べて大幅に安いことも、所得水準の低い新興国では重要な要素となっている。

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環境規制の差異が生む市場の二極化

先進国では欧州連合(EU)が2035年までにガソリン車の新車販売を事実上禁止する方針を打ち出すなど、環境規制が強化されている。一方、新興国では環境規制が緩く、ガソリン車の販売を積極的に推進する国もある。例えば、インドネシア政府はガソリン車の生産拡大を支援する政策を継続している。

このような規制の差異が、世界の自動車市場を二極化させている。自動車業界アナリストの田中一郎氏は「先進国ではEVシフトが進むが、新興国ではガソリン車の需要が今後も拡大するだろう。自動車メーカーは両方の市場に対応する戦略が求められる」と指摘する。

自動車メーカーの対応と今後の展望

こうした状況を受け、トヨタ自動車やフォルクスワーゲンなど大手自動車メーカーは、新興国向けの低価格ガソリン車の開発を強化している。トヨタはインドで2024年に新型ガソリン車を投入する計画を発表。フォルクスワーゲンも東南アジア市場向けにガソリン車のラインアップを拡充する方針だ。

一方で、長期的には新興国でもEVシフトが進む可能性がある。国際エネルギー機関(IEA)は、新興国でのEV販売が2030年には全体の30%を超えると予測している。しかし、インフラ整備や価格低下のスピード次第では、ガソリン車の需要が今後10年以上にわたって続くとの見方も強い。

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