仕事の効率を上げるために、メールは短文で簡潔に済ませるべきか、それとも丁寧な言葉遣いを心がけるべきか。営業コンサルタントの黒田昭彦氏は、その答えは相手次第だと指摘する。「自分が伝えたいことではなく、相手がどう受け取るかに意識を向けることが大切」と語る。黒田氏の著書『15分スケジュール すぐに成果を出す人の時間術』(明日香出版社)から、時間管理の具体的なテクニックを紹介する。
納期には余白を設けるのが鉄則
仕事を受ける際、納期を決める場面は多い。しかし、黒田氏によれば、余白のないスケジュールで約束してしまうことが、後々自分を追い詰める原因になるという。2日でできる仕事なら2日後と約束しがちだが、緊急の要件が入ったり、予想以上に時間がかかることはよくある。さらに、現状のスケジュールの混み具合を確認せずに引き受けると、後悔することになりかねない。
「もちろん、もっと早くできるのに余裕のある納期を提示するのは心苦しいかもしれません。しかし、予定通りに進んだら早く提出すればいいので、気に病む必要はありません」と黒田氏はアドバイスする。依頼者には、提出前の期待値で喜ばせるのではなく、提出後の結果で喜んでもらえばよいという。
「いつまでにできますか?」への賢い返し方
「いつまでに、できますか?」と聞かれた場合、黒田氏は逆に質問を返すことを勧める。「いつまでに提出すると大丈夫ですか?」「その日までにというのは、会議などで必要になるタイミングがあるのですか?」と、マストの締切か単なる希望かを確認する。そうすれば、例えば「3日後までに提出しますが、念のため4日後を締切日としてください」と余裕を持たせることが可能になる。「わざわざ締切を早くして、自分の首を絞める必要はありません」と同氏は強調する。
メールの言葉遣いは相手に合わせる
メールの文体について、黒田氏は「幸甚です」のような丁寧な表現が一般的に適切かどうかは、相手や状況によるという。ビジネスメールでは、簡潔さを重視する相手もいれば、丁寧な言葉遣いを好む相手もいる。重要なのは、自分の伝えたいことではなく、相手がどう受け取るかを考えることだ。例えば、取引先には丁寧に、社内の同僚には簡潔に、といった使い分けが効果的である。
割り込み案件は即自分宛にメールする
仕事中に突然の割り込み案件が発生した場合、黒田氏はすぐに自分宛てにメールを送ることを推奨する。これにより、脳の負担を減らす「外部記憶化」が実現できるという。頭の中だけで管理しようとすると、そのタスクを覚えておくために脳のリソースが消費され、集中力が低下する。メールに書き出してしまえば、後で確認するまで忘れても問題ない。この方法で、脳の負担を大幅に軽減できる。
確認タイムを決めて業務リズムを整える
メールやチャットの確認は、決まった時間に行うことが重要だと黒田氏は指摘する。常に通知に反応していると、集中力が途切れ、業務のリズムが崩れる。例えば、午前中と午後の2回だけ確認する時間を設けることで、効率的に仕事を進められる。この習慣により、割り込みを最小限に抑え、生産性を向上させることができる。
黒田氏の時間術は、単なるテクニックではなく、相手を思いやる姿勢と自己管理のバランスが鍵となっている。余白のあるスケジュール、相手に合わせたコミュニケーション、外部記憶の活用、そして確認タイムの設定。これらの実践が、仕事の効率を大きく変える可能性を秘めている。



