財務省が8月20日に公表した7月の貿易収支は、3カ月連続の赤字となり、金額は6345億円と6カ月ぶりの大きさを記録した。1~7月合計では約1.7兆円の貿易赤字で、決して大きくはないが、原油の備蓄放出により輸入金額が抑制されていた一時的な改善効果に過ぎない。
足元では半導体電子部品などを中心に輸出が堅調な伸びを維持しているものの、予見された原油輸入の急増がのしかかる中、赤字拡大が続いている。みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケット・エコノミストは、完全に予想された展開であり、7月以降の円安加速もこうした動きと無関係ではないとの基本認識を示している。
原油輸入の回復と代替調達の影響
6月以降、中東情勢の悪化を受けて途絶していた原油輸入数量が持ち直し始めており、7月時点ではイラン攻撃以前の水準に回復している。
「金額=価格×数量」であり、これまで価格が跳ね上がっても数量が低位に抑えられていたため金額が増えてこなかった経緯がある。代替調達が進めば高い価格と正常な数量が掛け合わされ、貿易収支の赤字が「崖」のごとく急拡大する展開は、3月以降の本欄で最も危惧されてきた円安要因の1つであった。
構造的変化への懸念
唐鎌氏は、残念ながらその通りになっていると言わざるを得ないと指摘する。貿易収支の改善は備蓄放出によるつかの間の効果に過ぎず、構造的な変化が始まっている可能性が示唆される。



