トヨタ自動車は8月4日に発表した2027年3月期第1四半期決算(国際会計基準)に合わせて、通期の業績見通しを上方修正した。売上高にあたる営業収益は従来の51兆円(前期比0.6%増)から54兆円(同6.5%増)に、営業利益は3兆円(同20.3%減)から3兆4000億円(同9.7%減)にそれぞれ引き上げられた。増収ながら減益となる構図は変わらないものの、営業利益率は期初の5.9%から6.3%へ改善する見通しだ。
円安とHV好調がけん引
上方修正の最大の要因は、期初想定を上回る円安の進行にある。1ドル=160円へと為替前提を見直したことで、営業利益には4800億円の押し上げ効果が見込まれる。しかし、真のけん引役は為替だけではない。地域別の営業利益を見ると、北米市場が伸びており、「カムリ」や「RAV4」などのハイブリッド車(HV)が好調に推移している。米国のトランプ大統領の関税政策など不透明感がある中でも、円安の追い風も手伝い、北米事業は赤字だった前年同期から1889億円もの損益改善を達成した。
東崇徳経理本部長は「マイナスの地域はあるが、予想を超えてプラスのところがしっかりサポートしてくれている。地域ポートフォリオの効果が出ている」と述べている。
HV戦略とサプライチェーン対応
トヨタは2025年に全面刷新した「RAV4」を北米市場などに投入し、HVへの集中を強めている。かつて「エコカーの先駆け」だったHVは、現在ではグローバル市場でトヨタの屋台骨を強固に支える大黒柱となっている。一方で、熊本地震や中東リスクへの対応も進められており、サプライチェーンを襲った危機に対しては、10年前の教訓を生かして被害を最小限に抑えたとみられる。
8月8日には、トヨタ自動車の社長・会長を歴任した奥田碩氏が93歳で逝去した。同氏が社長時代に強いリーダーシップで送り出した世界初の量産HV「プリウス」の誕生から四半世紀余りが経過し、トヨタは利益重視のHV戦略へと舵を切っている。



