中国市場における水素燃料電池車(FCV)の普及が期待されたほど進まず、トヨタ自動車とホンダの水素戦略が岐路に立たされている。中国政府はEV(電気自動車)への補助金を手厚くする一方、FCV向け補助金を縮小しており、両社は戦略の見直しを迫られている。
中国のFCV市場、期待外れの現状
中国は世界最大の自動車市場であり、政府はクリーンエネルギー車の普及に積極的だ。しかし、FCVの普及は遅れており、2023年のFCV販売台数は約5,000台と、EVの約700万台に大きく及ばない。補助金制度も2021年以降、段階的に縮小され、2023年にはFCV向け補助金が大幅にカットされた。
トヨタは中国市場でFCVの普及を目指し、2020年に中国大手自動車メーカーの北京汽車や広州汽車と合弁でFCVの開発・生産を開始した。しかし、販売は低迷しており、2023年のFCV販売台数は数百台にとどまる。
トヨタの戦略転換
トヨタは中国市場でのFCV戦略を見直し、商用車向けに軸足を移す方針だ。2024年には、水素エンジンを搭載した大型トラックの実証実験を開始する予定。また、燃料電池システムの外販にも力を入れ、中国のバスやトラックメーカーに供給する計画だ。
トヨタの中国事業担当者は「中国市場では、乗用車向けFCVの需要が限定的であるため、商用車や産業用途に焦点を当てる」と述べている。
ホンダの苦戦
ホンダは中国市場でFCVの販売を2021年に開始したが、販売台数は極めて少ない。2023年には、中国でのFCV生産を事実上停止し、戦略の見直しを進めている。ホンダは、中国市場でのFCV販売をいったん凍結し、北米や日本市場でのFCV開発に注力する方針だ。
ホンダの関係者は「中国市場でのFCV需要は当面見込めないため、リソースを他の地域に振り向ける」とコメントしている。
EVシフトが加速する中国市場
中国市場ではEVシフトが急速に進んでおり、2023年の新車販売に占めるEVの割合は約25%に達した。中国政府は充電インフラの整備を積極的に進めており、EVの利便性は向上している。一方、水素ステーションの整備は遅れており、2023年末時点で約300か所にとどまる。FCVの普及には、水素供給インフラの整備が不可欠だが、その進展は遅い。
中国汽車工業協会のデータによると、2023年のFCV販売台数は前年比で約20%減少した。これは補助金縮小の影響が大きく、市場の冷え込みを示している。
日本勢の水素戦略、岐路に
トヨタとホンダは水素技術のリーダーとして、FCVの普及に積極的に取り組んできた。しかし、中国市場での苦戦は、両社の戦略に大きな影を落としている。中国市場ではEVが主流となりつつあり、FCVの存在感は薄れている。
専門家は「日本勢は水素技術で先行しているが、市場の動向を見極め、柔軟な戦略が求められる」と指摘する。トヨタとホンダは、中国市場でのFCV戦略を修正し、商用車や他の地域での展開に活路を見出そうとしている。



