トヨタ自動車とそのモータースポーツ部門GRは、富士24時間レースを含むスーパー耐久シリーズへの参戦を通じて、二つの大きな目標を掲げている。第一は技術面での挑戦だ。過酷な環境で人とクルマを鍛え上げ、「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」と「カーボンニュートラルに向けた技術実証」をパートナーと共に加速させること。第二は、モータースポーツ文化のさらなる活性化に貢献することである。
ル・マン参戦体制の変化
一方、ル・マン24時間レースにおいては、昨年までGRが担っていた参戦体制がトヨタレーシングへと移行した。これに伴い、ル・マン24時間を含む研究開発の拠点であるトヨタGAZOOレーシングヨーロッパ(ドイツ・ケルン市)は「トヨタレーシング」に名称変更。参戦マシンも「GR010ハイブリッド」から「TR010ハイブリッド」となった。
トヨタレーシングは、先行開発技術を活用したモータースポーツ活動に特化し、エンジン開発など長期的な技術開発を推進するB2B(企業間取引)型の組織となる。一方、GRは2007年に豊田章男社長(現会長)とトヨタのマスタードライバー成瀬弘氏らがニュルブルクリンク24時間レースに参戦した原点に立ち返る。
GRのB2C戦略とGR GT3の重要性
GRはモータースポーツを起点にB2C(消費者向け)業務を集約する。その中で重要性を増すのが、市販GT3レーシングマシン「GR GT3」の存在だ。ベース車「GR GT」は、ドライバーファーストを追求し「公道を走るレーシングカー」と定義される、GRのクルマづくりを体現するフラッグシップスポーツカーである。GR GT3は、このGR GTをFIA(国際自動車連盟)が規定するGT3カテゴリーに適合させたレーシングカーだ。
このように、トヨタとGRは24時間レースへの挑戦を通じて、技術と文化の両面でモータースポーツの発展に貢献しつつ、GR GT3によって市販車とレーシングの架け橋を目指している。



