トヨタとGR(GAZOO Racing)は、ル・マン24時間レースで4年ぶりに総合優勝を果たした。この快挙の裏には、24時間への挑戦を続ける彼らの強い意志がある。本稿では、GRの高橋氏へのインタビューを基に、GR GT3の開発意義や、GRというブランドが目指す方向性について考察する。
GR GT3へのこだわり
高橋氏は、「自分たちの実力をつけていこうと思うと避けて通れない、(GT3カテゴリーは)カスタマーモータースポーツのピラミッドの頂点だから」と、GRにとってのGR GT3の重要性を強調した。GT3カテゴリーでは、メルセデス・ベンツAMG、ポルシェ、フェラーリ、BMW・Mスポーツ、マクラーレン、アストンマーチン、GMなど世界の競合がしのぎを削っている。GRとしては長きにわたり「GT3を作れるようになりたい」という思いがあり、「GT3をやらずにカスタマーモータースポーツをやっているとは言えない」と高橋氏は言い切った。筆者はトヨタ テクニカルセンター 下山の取材時も、GR GT3が順調にテスト走行する様子を確認しており、近年中の実戦参加が期待される。
「トヨタでやらないこと」をGRで
最後に、これからのGRをユーザーにどう見てほしいかを聞いた。すると、まず「いい意味で、トヨタっぽくないようにしたい」との答えが返ってきた。「トヨタ GAZOO RACINGからGAZOO RACINGへと名称変更するのは、その思いからだ」と高橋氏は説明する。「(07年に)GRが始まったころ、トヨタではやれない、トヨタではやれなかったからこそ、トヨタ(の名)をつけないGRがあった」とGRの歴史を振り返った。さらに「(今回)そうして原点に戻る意味は、(組織として)大きくなったトヨタでやれない、トヨタではやらないことをGRだからやろうよ(と社内外で言われる)というブランドにしたいからだ。これはトヨタのクルマじゃない、(トヨタのイメージの)度を超えていると言われたい」とした。
いま、大きく変わろうとしているGR。そこに向かうGRに関わる人達の思いを今回、富士24時間レースの現場で体感することができた。GRの「次の一手」を大いに期待したい。



