トヨタ自動車は、次世代電池として注目される全固体電池の量産開始時期を、従来の2028年から2027年に前倒しすると発表した。同社は2026年に量産を開始する計画を2023年に公表していたが、今回の発表でさらに1年前倒しとなる。
全固体電池のメリットと開発状況
全固体電池は、現在主流のリチウムイオン電池に比べてエネルギー密度が高く、航続距離の大幅な延長が期待される。また、電解質が固体であるため、発火リスクが低く、安全性にも優れる。トヨタは、全固体電池を搭載した電気自動車(EV)の航続距離を、現行のEV比で約2倍の1200km以上に引き上げる目標を掲げている。
トヨタの電池開発担当者は「材料開発や生産プロセスの革新により、量産化のめどが立った。2027年までに量産技術を確立し、まずはハイブリッド車(HV)に搭載する予定だ」と述べている。
業界への影響と競合他社の動き
トヨタの全固体電池量産前倒しは、EV市場に大きな影響を与えるとみられる。全固体電池の実用化が進めば、航続距離や充電時間の課題が解決され、EV普及の加速につながる可能性がある。一方、競合の日産自動車は2028年度、ホンダは2020年代後半の量産化を目指しており、トヨタの先手が競争を激化させそうだ。
また、全固体電池の量産には高い技術力と投資が必要であり、サプライチェーン全体の再編も予想される。トヨタは、国内の電池工場に約1兆円を投資し、生産体制を強化する方針だ。
トヨタのEV戦略と全固体電池の位置づけ
トヨタは、これまでEVへの消極的な姿勢が指摘されてきたが、2021年にEV戦略を大幅に転換し、2030年までに30車種のEVを投入する計画を発表。全固体電池は、その中核技術として位置づけられている。同社は、全固体電池をHVからEV、さらには燃料電池車(FCV)にも展開する構想だ。
全固体電池の量産開始は、トヨタのEV事業だけでなく、日本の電池産業全体の競争力強化にもつながると期待される。ただ、量産コストの低減や耐久性の確保など、課題も残っている。トヨタは、2027年の量産開始後、2030年までに本格的な普及を目指すとしている。



