九州最大の繁華街・福岡天神で進行中の大規模再開発「天神ビッグバン」。その先駆けとして2021年に竣工したオフィスビル「天神ビジネスセンター」は地下鉄天神駅直結で、米ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)の九州初拠点も入居する。その一角に、台湾の有力銀行・玉山銀行の福岡支店がある。23年7月、台湾系銀行として初の九州支店として開設された。
予想外だった熊本・福岡への不動産投資熱
今春、台湾の半導体世界大手TSMCが熊本で建設中の第2工場で、AI向け3ナノメートル先端半導体を量産する計画が明らかになった。九州全域を営業エリアとする同支店には需要拡大の追い風が吹く。支店長の久保敏也氏は「TSMCの熊本進出の関連需要を狙って進出したと思われがちだが、実際は違う」と語る。
玉山銀行の日本進出戦略について、久保氏は「日本では17年に東京支店を開設した。日本進出の前はアメリカ、オーストラリア、ベトナムなどに海外展開していた。日本と台湾は観光、経済・貿易、文化協力や人員の頻繁な往来により緊密な交流を保っており、台湾には相当規模の円預金や対日金融ニーズがある。これらの要因が日本拠点設立の大きな動機となった」と説明する。
特に同行は日台の文化交流に力を入れている。銀行自前の合唱団を核に、23年にはアクロス福岡で地元の中学・高校とのコラボコンサートを開催、この6月には熊本県立劇場でも企画している。「ビジネスだけでなく日台文化交流も推進していきたい」と久保氏。
難題は人材の獲得
福岡支店の開設から間もなく3年。手応えについて久保氏は「予想以上に不動産投資の需要が大きい。特に福岡市内の高級マンションを購入する台湾の個人投資家が増えている。TSMC関連だけでなく、福岡の都市としての魅力に惹かれての投資だ」と語る。半導体特需の裏側には、こうした幅広い台湾マネーの流入がある。
一方で、人材獲得が課題だ。久保氏は「九州には金融や半導体に精通した人材が不足している。地元大学との連携や、台湾からの人材派遣も検討している」と述べる。九州・福岡の地域ポテンシャルを引き出すには、ビジネスと文化の両面での連携が鍵となりそうだ。



