6月の午後、情報通信事業会社の事業戦略部チームリーダー・大石慧のデスクには、1年間で使い切った5冊のノートが積み重なっていた。一番下のノートは表紙が薄汚れ、角が丸くなっている。それは営業の佐伯の革靴に刻まれた傷を見て、現場の痛みを知らなかった自分の不甲斐なさを省みた記録だ。
「正しさで人は動かない」という気づき
大石は上司の言葉を真似しても部下に響かないことに悩み、自分の言葉を模索してきた。ノートにはインクの滲みや乱暴に書き殴った跡が残る。彼はそこで「正しさで人は動かない。現場の痛みを知らないリーダーは、ただの評論家だ」と記している。
成長する人の「三段階の振り返り」
本書では、経験を自分への栄養に変える技術として「三段階の振り返り」を紹介。失敗を引きずる人と未来の教訓につなげる人の違いは、この振り返りの仕方にあるという。チームで意味づけを共有することの重要性も説かれている。
『完璧なリーダーをやめたら、人と組織が動き出した』は、人材コンサルタントの瀬田千恵子さんによるビジネスノベルで、加藤洋平さんが監修・解説を担当。日本能率協会マネジメントセンターから刊行されている。



