PEファームが保険会社を買収、次の金融危機の主役か
PEファームが保険会社を買収、次の金融危機の主役か

2008年のリーマンショック後、世界の金融システムは安全になったはずだった。銀行には厳しい資本規制が課され、無謀なマネーゲームは制限された。しかし、ウォール街の怪物たちは諦めなかった。新刊『プライベート・エクイティ資本主義が世界を食い尽くす』(ブレンダン・バルー著)から一部抜粋・再構成し、規制の網を逃れ、リスクをすべて国民に押し付けながら膨張し続ける現代金融システム最大の「時限爆弾」の正体を明らかにする。

銀行に代わって「影の銀行」と化した巨大PE

2008年の住宅市場崩壊(大不況)の後、世界的な金融破綻を反省し、アメリカ政府は投資銀行に対して極めて厳しい規制を課した。自己勘定によるハイリスクな取引が禁止され、手元に確保すべき最低資金(自己資本要件)が引き上げられ、厳格な「ストレス・テスト」が義務付けられた。

だが、この厳しい監視体制こそが、新たな金融怪物を生み出す引き金となった。規制によって銀行がリスクの高い融資から一斉に撤退したため、その巨大な穴を埋める形で、プライベート・エクイティ(PE)ファームが「影の銀行(シャドー・バンキング)」として進出したのである。

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規制を逃れ、保険会社を買い漁る「錬金術」

PEファームは、一般的な投資信託などのように情報開示の義務を負わない「プライベート・ファンド」の形態をとるため、規制当局の監視をほぼ完璧に逃れることができた。自己資本要件も銀行に比べて圧倒的に低く、「システム上重要な金融機関(SIFI)」の指定も免れた。

こうした規制の隙間を突き、PEファームは猛烈な勢いで生命保険会社の買収を進めている。銀行に代わって融資を拡大するだけでなく、保険会社を買収し、その資産を運用することで巨額の利益を得る「錬金術」に乗り出している。

破綻のリスクだけを「外部化」

この動きの危険性は、破綻のリスクだけを外部化することにある。PEファームは保険会社を買収しても、保険金支払いなどの責任を負う一方で、運用リスクや破綻時の損失は国民や保険契約者に押し付ける構造を生み出している。

最悪のディストピアが目の前に迫っている。400億ドルを投じて保険会社を買い漁るPEファームの活動は、リーマンショックを超える「次の金融危機」の主役になる可能性をはらんでいる。

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