プライベート・エクイティ(PE)ファームが生命保険会社の買収を急速に進めている。その背景には、資本規制を回避する複雑なスキームの存在がある。
PEファームの保険会社買収と破綻リスク
PEファームが所有する保険会社は、従来型の健全な保険会社に比べて破綻するリスクが極めて高いとされる。法律上、保険会社は将来の給付金支払いに備えて一定の準備金(資本剰余金)を維持することが義務付けられているが、PEファームはこの規制を骨抜きにする租税回避スキームを構築した。
具体的には、資本規制や税制が緩いオフショア(租税回避地)であるバミューダ諸島に再保険子会社を設立し、米国内の保険契約を出再(売却)している。これにより、破綻リスクだけを外部化している。
アテネ・ホールディングの事例
アポロ傘下の保険会社アテネ・ホールディングは、500億ドル以上の債務をバミューダのオフショア子会社に売却し、国内の資本規制を回避した。独立した会計士トム・ゴバーの分析によれば、アテネの債務に対する剰余金(クッション資金)の割合はわずか1.2%にまで低下している。
一般の健全な保険会社の平均的な剰余金割合は5%〜25%であり、1.2%という数字は、ハイリスクな投資がわずかに失敗しただけで即座に債務不履行(破綻)に陥ることを意味する。
影響と今後の課題
もしこれらの保険会社が破綻すれば、国や州の保証機関が肩代わりせねばならず、そのコストは最終的に納税者や残された健全な保険会社に転嫁される。PEファームは利益をすべて自らの懐に収め、破綻のリスクだけを外部化して一般市民に押し付けている。



