2026年3月にファミリーマートの新社長に就任した小谷建夫氏は、今のコンビニ業界に一抹の不安を感じている。「このままの延長線上でいいのだろうか」と問いかける。
日本全国で約5万6000店舗が営業するコンビニだが、直近は価格高騰による節約志向の高まりや、食品強化型のドラッグストアの台頭で売り上げや客数が伸び悩む。かつてのような出店拡大による高成長を描くことは難しい状況だ。
同質化する3社、踊り場に来ている
小谷社長はコンビニ業界の現状をこう語る。「コンビニは大手3社が中心とよく言われるが、今はその3社間で同質化が進んでいる状態だ。例えば、ある1社が商品の増量キャンペーンを展開すれば、ほかのコンビニでも同じようなキャンペーンが展開されていく。日本国内のコンビニの店舗数はすごく多いのに、数少ない大手チェーンの間で同じようなことをやっている」。
今後、自分たちの強みとするやり方をスーパーやドラッグストアまでも真似していくようになれば、コンビニ業界全体がいっそう厳しくなると見る。「そういった意味でも今、踊り場に来ているのだと思う」と指摘する。
先日、セブン-イレブン・ジャパンの生みの親である鈴木敏文氏が逝去されたことに触れ、「鈴木氏がある程度、道筋を付けた線路の延長線上をずっとマイナーチェンジしながら進んでいる感覚だ」と述べ、「とても偉大な人だった」と同時に、「この延長線上を歩むだけでいいのだろうか」と疑問を感じていると明かした。
昔のコンビニの魅力を取り戻す
小谷社長は、以前のコンビニの方が魅力的だったとの見方を示す。「以前はもっと違う印象だった。どこに出張に行っても、必ずホテルの近くにコンビニがあって、『ちょっと疲れたな』と思った時にはスタミナ満点のお弁当があった。突然、ATMが設置されて、お金を下ろすことができるようになったりして、便利さがどんどん膨らんでいった」。
しかし世の中も随分変わったとし、「言葉が適切かどうか分からないが、あの当時と比べたら、感動というか、心引かれる部分が減っているんじゃないかと思う」と述べた。
ファミマは旗艦店の出店や新たなヒット商品の開発、看板商品のさらなる磨き込みで、次世代のコンビニ像を描く。創業の精神である「常識を突き破った先に成長がある」との言葉を胸に、小谷社長は「コンビニの楽しさを取り戻す」ことを目指す。



