イントレプレナー(社内起業家)として新規事業を成功させるには、幅広い知識やスキルが必要とされる。しかし、これらを最初からすべて兼ね備えている必要はなく、実際にそのような人は存在しない。グロービス経営大学院特任副学長の田久保善彦教授は、新刊『イントレプレナー(社内起業家)の教科書 新規事業を成功に導く50のQ&A』で、47人の先駆者へのインタビューを基に、挑戦の中で実践を通じて能力を身につける軌跡を紹介している。
同書によれば、多くのイントレプレナーは最初は既存事業の一担当者としての経験しか持たず、顧客コミュニケーションは得意でも事業計画や収支が分からなかったり、技術に詳しくてもビジネス交渉やマーケティングが未経験だったりする。しかし、彼らは「足りないからやめよう」ではなく「足りないなら学べばいい」と考え、走りながら必要な力を獲得していったという。
イントレプレナーに必要な6つの能力
田久保氏は、イントレプレナーに求められる能力として6つを挙げる。具体的には、革新性、市場認識、積極性、チームビルディング、リスク管理、そして持続的な学習能力である。これらの能力は、最初から完璧である必要はなく、むしろ「わからないことをわからないと言える素直さ」「必要なら学びに行く姿勢」「試して失敗から学び、やり方を変えるしなやかさ」といった学び続ける姿勢が土台となる。
既存事業で培った経験も無駄にならない。顧客対応、現場改善、チーム協働、数値目標管理など、日常業務で当たり前に行っていることが、新規事業という異なるフィールドで形を変えて活きてくるという。田久保氏は「足りないからやめておこうではなく、足りないなら学べばいいと考えることが重要」と述べている。
リスクばかり語る上司への対処法
イントレプレナーが直面する壁の一つに、リスクばかり指摘して承認しない上司がいる。同書では、こうした状況を乗り越えるには、まず小さな成功事例を作り、データで示すことが有効だとアドバイスしている。また、社内の味方を増やすためのネットワーキングや、経営陣への効果的なプレゼンテーション方法も紹介されている。
さらに、能力を身につけるためには「試してみる→振り返る→修正する」というサイクルを繰り返すことが不可欠だと強調。失敗を恐れずに行動し、その結果を分析して改善するプロセスが、イントレプレナーとしての成長を加速させるという。
走りながら学ぶ姿勢が鍵
田久保氏は、イントレプレナーに必要なのは「最初から完璧にできる能力」ではなく、学び続ける前提に立つスタンスそのものだと結論づける。同書では、47人の先人たちの実体験を通じて、どのようにして能力を身につけていったかが具体的に語られており、新規事業に挑むビジネスパーソンにとって実践的な指針となっている。



