EV販売不振でも中国自動車大手の好決算、BYD・吉利・長安の利益急増の背景
EV不振でも中国自動車大手好決算、BYD・吉利・長安の利益急増

世界的な電気自動車(EV)販売の減速が報じられる中、中国の大手自動車メーカー3社が2024年1~9月期の連結決算でそろって増益を達成した。業界全体でEV需要の伸びが鈍化する逆風下にあっても、各社は製品ミックスの最適化やコスト管理強化により収益性を高めている。

BYD:EV販売減でも利益率改善、純利益252億元

中国最大のEVメーカーであるBYD(比亜迪)は、2024年1~9月期の売上高が前年同期比18.9%増の5022億元(約10兆4000億円)に拡大。純利益は252億元(約5200億円)で、同18.1%の増益となった。7~9月期に限ると、売上高は2011億元で同24.0%増、純利益は116億元で同11.5%増と、第3四半期も好調を維持した。市場ではEV販売の減速が懸念されるが、BYDはプラグインハイブリッド車(PHEV)の販売が好調で、全体の販売台数は前年同期比で約40%増加。また、電池や半導体などの垂直統合によるコスト競争力が収益を支えている。

吉利汽車:高級車ブランドが牽引、純利益358%増の131億元

浙江吉利控股集団の上場子会社である吉利汽車(Geely Automobile Holdings)は、2024年1~9月期の売上高が前年同期比36%増の1677億元(約3兆5000億円)。純利益は131億元(約2700億円)で、前年同期比358%という驚異的な増益を記録した。高級EVブランド「Zeekr(極氪)」や高級ガソリン車ブランド「Lynk & Co(領克)」の販売が好調で、販売台数は前年同期比32%増の約149万台。特にZeekrはEV販売が前年同期比で倍増し、利益率の改善に貢献した。吉利汽車は「製品構成の高度化と原価低減が利益拡大の主因」と説明している。

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長安汽車:合弁事業の回復が寄与、純利益7%増の35億元

国有企業の長安汽車(Chongqing Changan Automobile)は、2024年1~9月期の売上高が前年同期比0.5%減の1109億元(約2兆3000億円)と微減だったが、純利益は35億元(約720億円)で前年同期比7.0%増加した。フォードやマツダとの合弁事業における販売回復が収益を押し上げた。長安汽車は、中国国内の内燃機関車市場で依然強いプレゼンスを持ち、EVシフトへの対応と並行して既存事業の収益性向上を図っている。

業界全体の傾向:EV一辺倒から多様なパワートレインへ

中国自動車工業協会(CAAM)のデータによれば、2024年1~9月の中国全体の新車販売は前年同期比2.4%増の約2157万台。うち新エネルギー車(NEV:EV、PHEV、燃料電池車)は同32.5%増の約832万台と伸びているが、EV単体では同16.8%増と伸び率が鈍化している。一方、PHEVは同84.2%増と急拡大しており、消費者の航続距離不安や充電インフラ不足を背景に、PHEVがEV販売減速の穴を埋める形となっている。大手3社の好決算は、こうした市場の変化に柔軟に対応した結果と言える。

今後の課題と見通し

中国自動車市場では、過剰生産能力と価格競争の激化が続いており、各社の収益環境は依然厳しい。BYDは2025年に高度運転支援システムを搭載した低価格EVを投入する計画で、さらなる市場シェア拡大を狙う。吉利汽車は欧州市場でのEV販売拡大を目指し、現地生産を検討中。長安汽車は2025年までに新型PHEVを10車種投入すると発表している。アナリストは「各社が収益性を維持しながらEVシフトを進めるには、技術革新とコスト管理の両立が不可欠」と指摘する。

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