高市政権発足後、初となる経済財政運営と改革の基本方針、通称「骨太の方針」が7月に閣議決定される見通しだ。国の借金が約1100兆円にものぼる中、政権が掲げるのは「責任ある積極財政」。今後の成長に向けて、半導体やAIなど17の戦略分野へ巨額の投資を行う構えだ。しかし、足元では長期金利が3%に近づき、市場は警戒モードの様相を呈している。円安も止まっておらず、さらなる物価高の懸念が拭えない。「骨太の方針 2026」は私たちの暮らしや住宅ローンにどんな影響があるのか。東洋経済コラムニストの野村明弘記者が詳しく解説する。
「骨太の方針」とは何か?予算決定の仕組み
「骨太の方針」は、正式名称を「経済財政運営と改革の基本方針」といい、毎年6月ごろに閣議決定される政府の経済政策の基本方針だ。この方針に基づいて、各省庁が予算要求を行い、年末の予算編成へとつながる。元々は小泉政権時の行政改革が発端で、以来、各政権の経済政策の方向性を示す重要な文書となっている。
最大のテーマ「責任ある積極財政」の本質
今回の骨太方針の最大のテーマは「責任ある積極財政」だ。野村記者は「高市政権は財政規律を重視しつつも、成長分野への積極投資を掲げている。国の借金が1100兆円に達する中で、財政再建と経済成長の両立を目指す難しさがある」と指摘する。具体的には、半導体やAI、蓄電池など17の戦略分野に対して、官民合わせて年間10兆円規模の投資を行う計画だ。この資金は、税収増や既存予算の組み替え、民間投資の呼び込みなどで賄うとしている。
金利上昇と円安・インフレのリスク
一方で、長期金利が3%に接近しており、市場は警戒感を強めている。野村記者は「金利上昇は住宅ローン金利の上昇や企業の資金調達コスト増加につながる。また、円安が止まらず、輸入物価の上昇によるインフレ懸念も続く。最悪のシナリオは財政破綻だが、現時点では可能性は低いものの、注意が必要だ」と述べている。
成長の見通しと過去の成功パターン
過去の成功パターンとして、野村記者は「1990年代のIT投資や2000年代の中国経済の成長を挙げ、今回の半導体・AI投資が日本の成長エンジンになる可能性がある」と評価する。ただし、17分野と多岐にわたるため、集中と選択が重要だと指摘する。今後の注目ポイントとして、金利動向や為替レート、そして実際の投資効果が挙げられる。



