アサヒグループホールディングス(HD)は、持続可能な調達方針を強化し、サプライチェーン全体での環境・社会配慮を推進している。同社は2030年までに主要原材料の持続可能な調達率100%を目標に掲げ、具体的な取り組みを加速させている。
持続可能な調達方針の背景
アサヒグループHDは、ビールや清涼飲料水、食品などの製造において、大麦やホップ、果物、コーヒー豆など多岐にわたる原材料を調達している。これらの原材料の生産地では、気候変動や水不足、労働環境の問題が深刻化しており、持続可能な調達は企業の責任として急務となっている。
同社は2021年に「アサヒグループ持続可能な調達方針」を策定。サプライヤーに対し、環境保護、人権尊重、労働安全衛生、腐敗防止などの基準を遵守するよう求めており、違反があった場合は改善計画の提出や取引停止などの措置を取るとしている。
具体的な取り組みと目標
アサヒグループHDは、2023年時点で主要原材料の持続可能な調達率を約60%まで引き上げた。特に、ビールの主原料である大麦については、オーストラリアやカナダなどの主要産地でサステナブル農業認証を取得した農家からの調達を拡大している。
また、コーヒー事業では、レインフォレスト・アライアンス認証を受けたコーヒー豆の使用比率を高めており、2025年までに100%を目指す。さらに、パーム油については、持続可能なパーム油の認証(RSPO)を取得したもののみを調達する方針を掲げ、2023年には調達量の90%以上が認証済みとなった。
サプライチェーン全体への波及効果
持続可能な調達は、サプライチェーン全体に波及効果をもたらす。アサヒグループHDは、サプライヤーとの協働を通じて、環境負荷の低減や労働環境の改善を促進している。例えば、タイのサトウキビ農家に対しては、水資源管理の改善や児童労働の撲滅に向けたトレーニングを実施している。
また、同社は調達先の多様化も進めており、気候変動による収穫量変動のリスクを分散している。これにより、安定した原材料の確保と持続可能な生産体制の構築を両立させている。
業界への影響と今後の展望
アサヒグループHDの取り組みは、食品・飲料業界全体に影響を与えている。同社は2022年、業界団体と連携して「持続可能な調達に関するガイドライン」を策定し、中小企業を含むサプライヤーへの普及を進めている。
サプライチェーン改革は、企業のブランド価値向上にも寄与する。アサヒグループHDは、持続可能な調達を経営戦略の中核に据え、ESG投資家からの評価も高まっている。同社は今後、サプライヤーとのデータ共有を強化し、トレーサビリティの向上を図る方針だ。



