ANA株主から厳しい批判、社長謝罪も…ロイヤル顧客優遇に欠けた視点
ANA株主から厳しい批判 ロイヤル顧客優遇に欠けた視点

ANAが導入した新運賃体系や「300万円の壁」と呼ばれる制度に対し、株主から厳しい批判が寄せられ、社長が謝罪する事態となった。企業がロイヤルカスタマーを優遇する流れが加速する中、なぜANAは失敗したのか。消費経済ジャーナリストの松崎のり子氏がその背景を考察する。

銀行やカード会社との違い

銀行やカード会社でも預け入れ資産や決済額に応じてサービスを手厚くするステージ制は一般的だ。ポイント経済圏でも、グループサービスを使うほど還元率が上がる手法はおなじみで、企業がロイヤル顧客を優遇する姿勢自体は当然とされる。しかし、ANAのケースでは顧客の怒りを買った。

その理由として、松崎氏はANAがスーパーフライヤーズカード会員を単なる「お客様」と捉えた点を指摘する。実際には、そのコアにはANAを選び続ける「ファン」がおり、ブランドを支えてきた愛着や自負がある。長年尽くしてきた自分よりも「金払いのいい客を優先する」と言われれば、推しに裏切られた感覚になるという。

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金額至上主義への疑問

タカラヅカの事例でも同様で、「注いできた熱意より、金額で評価されるのか」という空虚さが生まれる。単なる客ではなくファンに支えられているという認識があれば、異なる着地点が見えたかもしれない。

利益追求で企業価値を上げることは上場企業として正しいが、恩恵を受けるはずの株主からも苦言を受けた事実は、欠けていた視点があったことを示す。とはいえ、富を持たざる者が後回しにされる流れは自由経済社会では避けられないと同氏は指摘する。

推し活の世界にも見える矛盾

さらに、推し活の世界でも似た矛盾がある。松崎氏は自身の経験から、ファンクラブ会員の方がチケット入手に苦労するという現象に触れ、「釣った魚にエサはやらぬ方式」が存在する可能性を指摘。気持ちが通じ合える優しい場所はこの世界にはないのかもしれないと結んでいる。

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