昨年6月、神奈川県相模原市の電子部品メーカー東京コスモス電機の株主総会で、会社提案の取締役人事が全員否決され、アクティビストファンドの人事案が可決。経営陣が丸ごと入れ替わる異例の事態となった。新社長に就いたのは、シンガポール拠点の投資ファンド「アクシウム・キャピタル」の門田泰人CEO。その後1年間、組織再編や中期経営計画の策定を断行し、改革を進めてきた。メドがついたとして6月の株主総会で社長を退任し、代表取締役兼取締役会議長としてガバナンスを統べる傍ら、M&Aを所管する。さらに門田氏は音響機器メーカーのフォスター電機の社外取締役にも就任した。「アクティビスト社長」としての1年間の振り返りと、「アクティビスト社外取」としての意気込みを聞いた。
「社長業は70点」、M&Aで利益を2~3倍へ
門田氏は1年間の成果について、大きく2つの取り組みを挙げた。1つは新たな中期経営計画の策定だ。「新経営陣が勝手に作るのではなく、従業員の声を盛り込むことに気を使った」と述べ、経営幹部とは毎週議論を重ね、ランチミーティングやタウンホールミーティングを通じてほぼすべての従業員と意見交換を行ったという。
もう1つはガバナンスの強化。これまでの経営はどんぶり勘定で、製品ごとの利益率や顧客単位の収益性といった情報が経営陣に正確に伝わっていなかった。門田氏は「どの原材料の価格がどれくらい上がったため、製品コストにどれくらい響いているか」というデータを抽出できず、原材料価格が上昇する中でも価格転嫁ができなかったと指摘。そこで原価管理を徹底し、データを裏付けとした価格交渉ができるようにした。
部門間連携の活性化と事業本部制の導入
「営業」や「技術」といった部門間の連携も不十分だった。そこで今年1月から、製品単位で各部門を一気通貫で管理する事業本部制を導入した。門田氏は「まだ日は浅いが、部門間のコミュニケーションは明らかに活性化している」と手応えを語る。
フォスター電機社外取締役就任の舞台裏
東京コスモス電機の社長を退任した門田氏だが、今度は音響機器メーカーのフォスター電機の社外取締役にも就任した。アクティビストとしての経験を生かし、同社のガバナンス改革や収益向上に貢献する考えだ。門田氏は「M&Aを活用して利益を2~3倍に引き上げたい」と意気込みを語る。



