社内起業家に必要な6つの能力と獲得方法:走りながら学ぶ実践知
社内起業家に必要な6つの能力と獲得方法

ビジネスイントレプレナー(社内起業家)に求められる能力は、先天的に備わっているものではなく、仕事や人生の経験、さまざまな学びの機会の中で獲得できるものだ。グロービス経営大学院特任副学長の田久保善彦教授は、多くのイントレプレナーが「走りながら必要な力を身につけていく」と指摘する。本稿では、イントレプレナーに必要な6つの能力と、それらを獲得するための3つの要素について解説する。

イントレプレナーに求められる6つの能力

新規事業を推進するイントレプレナーには、以下の6つの能力が重要とされる。これらはすべて、後天的に習得可能なものである。

⑤政治洞察力(Political acumen):複雑な利害関係を読み、人をつなげる力

イントレプレナーは、社内外の多くの人を巻き込みながら新規事業を進める必要がある。ここで求められるのは、相手の立場や思いを尊重しながら協力関係を築く力である。これは、対話の経験を重ねることで誰でも鍛えることができる。

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⑥本源的動機(Intrinsic motivation):お金ではなく、社会・組織に貢献したいという思い

外的報酬ではなく「自分は何のために取り組むのか」という内側から湧き上がる動機である。新規事業は長い道のりであり、困難も多いからこそ、この内発的な動機が挑戦を支える燃料となる。これは挑戦の過程で育っていくものでもある。

これらのように、イントレプレナーに求められる能力は先天的に備わっているというよりも、仕事や人生の経験、さまざまな学びの機会の中で得られるものなのだ。

能力を身につけるために必要な3つの要素

では、イントレプレナーは必要な能力をどのように獲得していったのだろうか。新規事業は、最初から正解がわかっている仕事ではない。だからこそ、「やってみて、振り返って、修正する」というサイクルを回す中で、実践知が蓄積されていく。そのプロセスを支える要素として、多くのイントレプレナーが挙げていたのが、次の3つである。

①企業のバックアップ(伴走と支援)

新規事業に挑戦する人を支える仕組みが企業の中にある。例えば、事務局や新規事業推進室が、プロジェクト設計から資金調達、経営層への報告までを伴走する。こうした仕組みの中で挑戦者は「事業構築の型」を身につけていく。具体例としては、「顧客の課題をどう整理するのか」「どのように仮説を立て、検証していくのか」「事業計画をどう組み立てるのか」といったことは、一人でゼロから考えるよりも、伴走者と一緒に進めるほうが学びのスピードは速くなる。

②人的ネットワーク(メンターや仲間との交流)

もう一つの大きな学びの源泉は、「ヒト」である。新規事業に挑戦する人たちは社内外にメンターや仲間を持ち、互いに刺激を与え合っている。こうしたネットワークは単なる情報交換の場ではない。共に悩み、乗り越え、応援し合う関係が生まれることで、心理的安全性と挑戦意欲が高まるのだ。

大切なのは「自分から学びに行く姿勢」

イントレプレナーに必要な能力は、待っていても身につかない。自ら学びに行く姿勢が何より重要である。企業のバックアップや人的ネットワークを活用しながら、実践の中で能力を磨いていくことが、社内起業家として成功する鍵となる。

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