戦争とAIが世界経済を押し上げる? 新たな好況のメカニズムを解説
戦争とAIが世界経済を押し上げる? 好況のメカニズム

世界はウクライナとイランという二つの戦場を抱え、ホルムズ海峡封鎖という異常事態が続いている。米国のトランプ大統領の政策は朝令暮改で、イラン側もしたたかに立ち回るため、企業活動には先行き不透明感が漂う。しかし、世界経済はそれほど悪化していない。国際通貨基金(IMF)が7月8日に公表した「世界経済見通し」は、2026年の世界経済成長率を3.0%、2027年を3.4%と予測し、4月時点の予測からほとんど変わっていない。

戦争とテクノロジーがもたらす経済成長

IMFは「戦争と技術の狭間で揺れる世界経済」をテーマに掲げ、中東情勢の悪化を予想以上にうまく乗り切りつつあると評価した。戦争によるショックはエネルギー輸入国や脆弱な経済に重くのしかかるが、AI関連需要の拡大がテクノロジーのグローバル・バリューチェーンに組み込まれた国々を押し上げている。世界的なディスインフレは失速しており、リスクのバランスも4月時点と比べて改善しているという。

日本経済も例外ではない。7月1日に公表された日銀短観6月調査では、大企業・製造業の業況判断が3月調査の+17から+22へ5ポイント改善し、5四半期連続のプラスで、ほぼ8年ぶりの高水準となった。前回の3月調査ではホルムズ海峡封鎖の影響が十分に織り込まれていないと指摘されたが、6月調査では原油輸入量が前年比でほぼ半減し、ナフサ不足なども反映したうえでの結果である。

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戦時下のイノベーションが経済を活性化

戦争という極限状態は、しばしばイノベーションを促進する。ウクライナでは「トロフィーラボ」と呼ばれる施設が、鹵獲したロシア兵器の解析を行い、軍事的常識を逆転させている。このような技術的優位は、民生分野にも波及し、AIやドローンの進化を加速させている。ロシアの機密が明らかになることで、西側の防衛技術も向上し、関連産業の成長につながっている。

一方で、トランプ大統領の予測不能な言動はリスク要因だ。ホルムズ海峡の再封鎖を宣言し、通過する船から積み荷の20%相当額を徴収すると述べたかと思えば、一夜で撤回する。こうした不安定性はあるものの、春頃に叫ばれた「日本経済にとって戦後最悪の危機」という声は今や影を潜め、ポテトチップスの袋に一部カラー印刷が戻るなど、日常にも回復の兆しが見える。

経済と戦争の複雑な関係

「世界経済が好調なのは戦争のおかげなのか」という問いに対して、単純に肯定はできない。戦争は確かに一部の産業を活性化させるが、同時に多くの人々の命と財産を奪う。しかし、現実として、AI需要の拡大や技術革新が経済成長を支えているのは事実だ。日本経済は8年ぶりの好況を享受し、日銀短観もそれを裏付けている。

今後の焦点は、ホルムズ海峡問題の行方と、トランプ政権の政策の安定性にある。IMFの想定通り、2027年3月までに戦争前の状態に戻るかどうかが、世界経済の持続的な成長を左右するだろう。

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