東京都心のオフィス空室率が過去最低、賃料上昇続く
東京都心オフィス空室率が過去最低、賃料上昇

東京都心のオフィス市場で、空室率が過去最低を更新し、賃料の上昇が続いている。2026年6月時点の空室率は0.8%と、これまでの最低記録を0.1ポイント下回った。この背景には、IT企業やスタートアップを中心としたオフィス需要の拡大と、新規供給の不足がある。

空室率の急低下とその要因

不動産調査会社の三鬼商事が発表したデータによると、東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)のオフィス空室率は2026年6月に0.8%となり、前月の0.9%からさらに低下した。これは2004年の調査開始以来の最低水準で、前年同月の1.5%からも大幅に改善している。空室率の低下は、特に大手町や丸の内、六本木などの都心主要エリアで顕著で、一部のビルでは空室がほぼない状態だ。

需要を牽引しているのは、デジタル関連企業やベンチャー企業だ。新型コロナウイルス禍後のオフィス回帰の流れに加え、AIやクラウド関連の新興企業が積極的に拠点を拡大している。また、外資系金融機関やコンサルティング会社も、対面業務の重要性を再認識し、都心の高級オフィスへの移転を進めている。一方で、新規の大規模オフィスビルの供給は2025年以降減少しており、需給の逼迫が続いている。

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賃料上昇と企業への影響

空室率の低下に伴い、オフィス賃料も上昇傾向にある。三鬼商事の調査では、6月の東京都心5区の平均賃料(坪あたり)は前年同月比で5%上昇し、2万5000円を超えた。特に、築浅の高グレードビルでは、坪3万円を超えるケースも出てきている。この賃料上昇は、中小企業やスタートアップにとって負担増となっており、一部では郊外やシェアオフィスへの移転を検討する動きも出ている。

「賃料の上昇ペースは予想以上で、予算の見直しを迫られている」と、都心でオフィスを借りるIT企業の経営者は語る。一方で、大手企業は賃料上昇を吸収し、都心でのプレゼンス維持を優先する傾向が強い。不動産アナリストは、「今後も需要は堅調で、空室率は当面低水準で推移するだろう。賃料の上昇は2027年まで続く可能性がある」と指摘する。

今後の見通しと課題

オフィス市場の過熱は、企業の移転コストや人件費の上昇にも波及している。特に、従業員の通勤時間短縮や利便性向上を目的に都心へ拠点を移す企業が増えているが、家賃高騰が収益を圧迫するリスクもある。また、空室率の低下は、地方都市との格差拡大にもつながっている。地方では空室率が高止まりしており、政府の地方創生施策との整合性が問われる。

東京都は、オフィス供給促進のための規制緩和を検討しているが、新築ビルの完成までには時間がかかる。当面は、リノベーションや既存ビルの有効活用が鍵となりそうだ。市場関係者は、「都心のオフィス不足は構造的な問題で、短期的な解決は難しい。企業は柔軟な働き方やテナント戦略が求められる」と話す。

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