首都圏の大手私鉄の電車といえば、特急列車を除けば一般的なのはロングシートの通勤電車だ。しかし、西武鉄道には例外的な車両が存在する。それが「4000系」である。同車両は、ちょっと懐かしい長距離列車のようなボックスシートが並ぶ2ドア車で、登場以来30年以上にわたり、池袋線の飯能(埼玉県飯能市)から西武秩父線の終点・西武秩父(秩父市)の間で主力として活躍してきた。
活躍の場は飯能―西武秩父間
池袋線の飯能駅は行き止まり式の駅で、池袋方面からやってきた電車は、西武秩父まで直通する特急「ちちぶ」や土休日の「Sトレイン」を除き、同駅で折り返す。これらの列車以外で飯能から先に向かう場合、乗客は4000系の各駅停車に乗り換えることになる。飯能まで乗ってきた電車とは大きく異なる4000系に、「遠くに旅行に行くみたいな電車」と驚く利用者の声もある。走る車両が変わるため、西武線の利用者でも池袋線の「終点」は飯能で、その先は「西武秩父線」だと思っている人は少なくない。実際には池袋線は飯能より先、吾野まで続いており、その先が西武秩父線となる。
「セミクロスシート」の4000系
4000系は、進行方向を向いたクロスシートとロングシートを組み合わせた「セミクロスシート」を採用。特にボックスシートは、かつての長距離列車を彷彿とさせ、秩父路の旅情を盛り上げる。車内は2ドアで、座席配置にゆとりがあり、乗客はゆったりと過ごせる。同車両は、勾配の続く山岳路線の「主」として、秩父の山々を駆け抜けてきた。
塗装は「ライオンズカラー」
4000系の外観で特に目を引くのは、西武ライオンズのチームカラーをイメージした青とオレンジのラインだ。この「ライオンズカラー」の塗装は、他の西武車両とは一線を画し、異彩を放っている。山岳路線を走る姿は、まさに「山のレジェンド」と呼ぶにふさわしい。車両基地での独占取材では、長年にわたる運用の歴史と、秩父地域の輸送を支えてきた功績が語られた。
池袋から秩父へ直通運転
特急「ちちぶ」や「Sトレイン」は池袋から西武秩父まで直通するが、4000系は飯能で乗り換える必要がある。それでも、4000系自体が持つ特別感は、乗客に旅行気分を味わわせる。秩父の観光シーズンには、多くの利用者で賑わい、地域の足として欠かせない存在だ。
「山のレジェンド」4000系の今後
登場から30年以上が経過し、4000系は老朽化が進んでいるが、その独特な魅力から根強いファンも多い。西武鉄道は今後も同車両を大切に運用していく方針で、秩父の山岳路線を走り続ける「山の主」の姿は、しばらく見られそうだ。



