日産自動車が7月に発売した新型コンパクトSUV「キックス」は、デザインと機能のバランスに優れ、どんなユーザーにも無理を強いない美点を持つ。モータージャーナリストの小川フミオ氏が試乗した印象を報告する。
リアセクションの躍動感
小川氏が特に評価するのはリアセクションだ。「ふくらみが強調されたリアフェンダーと、垂直に裁ち落としたようなリアの組み合わせが躍動感を生んでいる」と述べる。垂直に切り落とされたデザインは特徴的で、パッケージングも重視され、後席スペースは全長4.3m程度の車とは思えないほど余裕がある。しかし、機能一辺倒ではなく、走りの良さを感じさせるデザインとなっている。
一方で、フロントマスクについては「もう少し(いい意味で)個性が欲しい」と指摘する。ボンネットの両端が盛り上がる形状はイタリアのスポーツカーからインスパイアされたという。
新世代プロパイロットを先行搭載
キックスは、日産自慢の運転支援システム「プロパイロット」において、新世代のカメラを先行搭載する。従来の水平画角52度から120度に拡大され、解像度は6倍に向上。AI技術により走行区分車線に頼らず道路全体から走行ラインを判断し、カーブでの自然な操舵を実現する。小川氏は首都高での試乗で「カーブでの車両の動きはほぼ違和感がなかった」と語る。
一方、四輪駆動制御システム「e-4ORCE」は現行エクストレイルなどと同じ従来世代の技術だが、十分な性能を備えている。
モデル構成と価格
モデルは2WDとe-4ORCEの4WDの2系統。価格は以下の通り。
- 2WD:Xシンプルパッケージ 299万9700円、X 325万9300円、X+ 354万9700円、G 389万8400円
- 4WD:X e-4ORCEシンプルパッケージ 334万9500円、X e-4ORCE 359万9200円、X+ e-4ORCE 389万9500円、G e-4ORCE 424万8200円
トヨタ「ヤリスクロス」やホンダ「ヴェゼル」よりやや高価だが、内容を考慮すれば納得できる。国内のコンパクトSUV市場(年間約52万台)で存在感を強める可能性がある。
スペック
テスト車両「X e-4ORCE」の諸元:全長4365mm、全幅1800mm、全高1610mm、ホイールベース2655mm、車重1550kg。パワートレインは1.4L 3気筒ハイブリッドで、システム最高出力は72kW+105kW(フロントモーター)+50kW(リアモーター)、最大トルクは115Nm+315Nm(フロント)+140Nm(リア)。駆動方式は全輪駆動、乗車定員5名、WLTCモード燃費21.5km/L、価格359万9200円。



