トヨタ自動車は、カーボンニュートラル(CN)実現に向けた新たな戦略として、水素を燃料とするエンジン車の開発を本格化させている。同社は、既存のガソリンエンジンをベースに、水素を直接燃焼させることでCO2排出を実質ゼロにする技術を確立。2026年までに実用化を目指す方針だ。
水素エンジン車の特徴と優位性
水素エンジン車は、燃料電池車(FCV)と異なり、エンジンそのものを水素仕様に改造するため、既存の生産ラインやサプライチェーンを大幅に活用できる。トヨタは、この技術が商用車だけでなく乗用車にも適用可能とし、多様なニーズに対応できると説明している。
トヨタの水素エンジンは、燃焼時にCO2を排出しないが、微量の窒素酸化物(NOx)が発生する。しかし、同社は後処理システムの改良により、実用上問題ないレベルまで低減できるとしている。また、水素エンジン車は、水素ステーションの整備が進んでいない地域でも、既存のガソリンスタンドで液化水素を供給できる可能性がある。
開発スケジュールと市場投入計画
トヨタは、2023年の富士24時間耐久レースで水素エンジン車のプロトタイプを公開し、実証実験を開始。2024年にはGRヤリスをベースにした水素エンジン車の市販化を検討している。さらに、2026年までには、水素エンジンを搭載した量産車を市場に投入する計画だ。
トヨタの豊田章男社長は、「内燃機関はまだ終わっていない。水素エンジンは、エンジン音や振動といった自動車の魅力を残しつつ、カーボンニュートラルを達成する現実的な選択肢だ」と述べている。
課題と今後の展望
水素エンジン車の普及には、水素の製造・供給インフラの整備が不可欠だ。現在、日本国内の水素ステーションは約160カ所と限られており、政府は2030年までに1000カ所への拡大を目標としている。また、水素の価格もガソリンと比較して高く、燃料コストの低減が課題となる。
トヨタは、水素エンジン車に加えて、燃料電池車や電気自動車(EV)も併行して開発し、地域や用途に応じたマルチパスウェイ戦略を推進する。同社は、2050年までに新車のCO2排出をゼロにする目標を掲げており、水素エンジンはその重要な柱の一つと位置づけている。



