政府は、ナフサなどの石油化学製品の供給構造を見直すとともに、原油などの調達多角化に向けた新たな支援制度を創設する方針だ。中東情勢の影響で安定調達が懸念される中、2026年8月28日に開催された第21回産業構造審議会 製造産業分科会と第28回資源開発・燃料供給小委員会で示された。
ナフサ調達の現状と課題
日本の平時のナフサ調達先は、中東からの輸入が4割、その他地域からの輸入が2割、国内製産が4割であるが、原油調達のホルムズ依存度が高い国が製産したナフサという観点で観ると、ホルムズ経路によるナフサの調達率は5割を占めている。
今般の中東情勢悪化後の3月、4月にはナフサ輸入量は一時減少したが、調達先の多角化を進めた5月には、前年と同程度までナフサ輸入量が回復した。
シンナー・塗料をはじめとする問題
一方、ナフサが石油防衛対象とされていないこと等により、シンナー・塗料をはじめとするナフサ由来の化学製品では、供給の偏りや流通の目詰まりが生じるといった問題も見受けられた。今回、特定の経路への依存度が高いことによるリスクが顕在化したことを踏まえれば、石油防衛の見直しだけでなく、ナフサの調達先の多角化や化学製品の原料多角化を進め、その依存度を低減していく必要がある。
新たな支援制度の創設
このため、経済産業省の産業構造審議会 製造産業分科会の第21回会合では、ナフサなどの石油化学製品の供給構造の強靱(きょうじん)化に向けた検討を行うとともに、第28回「資源開発・燃料供給小委員会」では、原油などの調達多角化に向けた支援制度の大枠が示された。
今般の中東情勢対応においては、「1.ナフサの国内製産の継続」「2.ナフサの代替輸入の拡大」「3.中間製品(中間製品)の在庫の活用」「4.中間製品の輸入の増加」によって、ナフサ由来の化学製品は日本全体として必要な量は確保されていたが、シンナー・塗料をはじめとするナフサ由来の化学製品では供給の偏りや流通の目詰まりが生じた。
これまでの供給の偏りや流通の目詰まりは、図2のように類型化されている。この目詰まりの解消に向けて、経済産業省では関係事業者に必要な情報を伝達することや、通常通りの頻度・量での発注を要求したほか、石油化学メーカー等からシンナー等メーカーへの原料直接供給、シンナー等メーカーから塗装事業者等へ直接販売することにより、問題はおおむね解消された。
政府は、ナフサのサプライチェーンと供給状況を踏まえ、調達多角化に向けた新たな支援制度の詳細を今後詰める方針だ。



