政府、EVバス充電インフラに補助金 全国100カ所整備へ
政府、EVバス充電インフラに補助金 全国100カ所

政府は電気自動車(EV)バスの普及を加速させるため、2025年度から充電インフラの整備に新たな補助金制度を導入する方針を固めた。全国の観光地や路線バスの拠点など約100カ所に急速充電器を設置し、EVバスの運行を後押しする。総事業費は約100億円を見込んでおり、2025年度予算案に関連経費を計上する。

EVバス普及の課題は充電インフラ

EVバスは二酸化炭素(CO2)排出量が少なく、脱炭素社会の実現に向けた切り札と期待される。しかし、現状では充電設備の不足が普及の壁となっている。バスは路線運行の合間に短時間で充電する必要があり、高速充電が可能な設備が不可欠だ。

国土交通省によると、2024年時点の国内のEVバス保有台数は約500台と、全体の約1%に過ぎない。政府は2030年までに保有台数を1万台(普及率約20%)に引き上げる目標を掲げている。今回の補助金はこの目標達成に向けた具体策の一つとなる。

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補助金の対象と規模

補助金の対象は、地方自治体やバス事業者が設置する急速充電器で、1基あたり最大5000万円を助成する。設置場所は観光地やバスターミナル、高速道路のサービスエリアなどを想定。充電器の出力は150キロワット以上を条件とし、EVバスが10分程度の充電で数十キロメートル走行可能な性能を求める。

また、充電器の維持管理費や、系統電力の増強工事費なども補助対象とする。政府は2025年度から3年間で約300基の充電器を整備する計画で、そのうち約100基はEVバス専用とする。

観光地でのEVバス導入促進

特に観光地でのEVバス導入を促進する。例えば、京都や箱根、富士山麓など、環境意識の高い観光客が多いエリアでは、EVバスによる静粛でクリーンな移動手段が求められている。京都府では既に一部の路線でEVバスが運行しており、2025年度までにさらに20台を導入する計画だ。

箱根町では、町内を走る路線バスの全車両を2030年までにEV化する目標を掲げている。今回の補助金により、充電インフラの整備が加速すると期待される。

バス事業者の負担軽減へ

バス事業者にとって、EVバス導入の最大の障壁は初期コストの高さだ。EVバスは1台あたり約5000万~8000万円と、ディーゼルバスの約2倍の価格。さらに充電設備の設置費用が加わる。政府は2024年度補正予算でEVバス購入への補助金を拡充しており、今回の充電インフラ補助と組み合わせることで、事業者の負担を大幅に軽減する方針だ。

日本バス協会の調査によると、EVバスは運行コストがディーゼルバスに比べて約3割低く、長期的には経営改善にも寄与する。しかし、導入初期の投資が重荷となっているのが実情だ。

全国の自治体が期待

全国の自治体からは、今回の補助金制度に期待の声が上がる。東京都は2024年までに都営バスの一部路線でEVバスを試験導入しており、2025年度から本格導入を計画。横浜市も観光路線でのEVバス導入を検討している。

一方で、専門家からは「充電インフラの整備と同時に、電力系統の強化や再生可能エネルギーの活用も進める必要がある」との指摘もある。EVバスの大量導入により、地域の電力需要が急増する可能性があり、系統安定化対策が不可欠だ。

政府の脱炭素戦略の一環

今回の補助金は、政府の「2050年カーボンニュートラル」実現に向けた取り組みの一環。運輸部門のCO2排出量は全体の約2割を占め、そのうちバスを含む自動車が大部分を占める。EVバスの普及は、公共交通の脱炭素化に大きく貢献すると期待される。

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経済産業省と国土交通省は連携し、EVバスの導入目標達成に向けたロードマップを2025年春までに策定する方針だ。充電インフラの整備に加え、車両価格の低減や電池の長寿命化など、技術開発支援も検討する。