経済産業省は、原子力発電に伴い発生する高レベル放射性廃棄物(HLW)の地層処分地選定の第1段階となる文献調査を、茨城県常陸大宮市に対して実施するよう申し入れた。鈴木定幸市長は「個人的には前向きに捉えている」と述べた。
本州で初めての文献調査となるか
市議会定例会は1日から始まっており、広い視野に立った冷静な議論が行われ、受け入れ決定に至ることが期待される。受け入れが決まれば、北海道の寿都町、神恵内村、佐賀県玄海町、東京都小笠原村の南鳥島に続く5例目の自治体となる。
本州での文献調査は初めてで、関東地方での候補地探しという新展開となる。これまでの4地域はいずれも海に面していたが、常陸大宮市は海岸線を持たず、太平洋岸から離れた内陸に位置する。同市が文献調査地に加われば、地理的条件の多様性が増す点でも意義がある。
他地域への波及効果も期待
今回の申し入れは、他地域への後押し的な効果をもたらす可能性がある。南鳥島での文献調査を受け入れた小笠原村の渋谷正昭村長は、国が他の自治体に申し入れるまでは次の概要調査について意見表明をしない考えを示していた。常陸大宮市への申し入れにより、次段階に進む条件の一つが整った。
北海道の寿都町と神恵内村では文献調査を終え、次の概要調査に進むかどうかが焦点となっている。鍵を握る鈴木直道知事は反対の意向を示しているが、候補地域が北海道以外にも広がることは、最終処分を全国的な課題として考える環境を整え、知事の今後の判断にも影響を与える可能性がある。
茨城県の特性と今後の課題
茨城県は東海村や大洗町を中心に、原発や研究炉など多数の原子力施設が存在する。県内にはさらなる負担への抵抗感があるかもしれないが、原子力研究開発の歴史がある地域だけに、HLWに関して感情論に陥らず、地層処分事業について冷静に議論を深められる素地もある。
政府は原子力発電を将来にわたって活用する方針であり、そのためには発電の後始末であるHLWの地層処分実現への道筋を確かなものにしなければならない。経産省から自治体への文献調査の申し入れをさらに増やすことが必要で、約10地域での文献調査実施を目指すとしている。



