福井県の石田嵩人知事は14日、関西電力が計画する使用済み核燃料の乾式貯蔵施設を巡り、着工に必要な県の「事前了解」の判断を先送りすると明らかにした。開会中の6月県議会では判断を示さないとした。前提だった搬出先となる再処理工場(青森県六ヶ所村)の完成目標が見通せなくなったためだ。ただ、県議会は早期に結論を出すことを求めており、難しい局面が続きそうだ。
知事「現状では判断できない」
石田知事は14日に県庁で開かれた県議会予算決算特別委員会で、「現状においては、事前了解の判断はできないと考えております」と厳しい表情で答弁した。
事前了解を巡ってはこれまで、原子力規制委員会による再処理工場の審査で、事業者の日本原燃が設計などの説明を終えた段階で是非を判断する考えを示していた。関電が示した使用済み核燃料の県外搬出に向けたロードマップ(工程表)で、核心と言っていい再処理工場が予定通り、2026年度中に完成するかを見極めるためだった。
日本原燃は先月8日、主要な説明を終えた。関電も県や県議会に対し、2026年度中の完成に変更はないと報告していた。
青森県の動向が誤算に
県にとって誤算だったのは、再処理工場が立地する青森県の動向だった。宮下宗一郎知事は「2026年度中の完成」に以前から懐疑的な見方を示していた。そんな中で、宮下知事と今月3日に会談した経済産業省の久米孝・電力・ガス事業部長は、完成目標が遅れる可能性について言及した。
これにより、ロードマップの不透明感が一気に増した。県庁内には当初、6月県議会中に判断を示す選択肢も挙がっていたが、ロードマップの中核部分が揺らいだため、見送る方針に傾いていった。
県議会から早期判断求める声
特別委で質問に立った最大会派・自民党県議会の宮本俊県議は見送りに理解を示す一方、「いたずらに議論を引き延ばさず、早く回答するという意識を持って検討してほしい」とくぎを刺した。
特別委後、石田知事は記者団に対し、関電から再処理工場の完成遅れによるロードマップへの影響などの説明を受けた上で、原発が立地する自治体の意見を聞くと説明した。「材料がそろえば、速やかに判断したい」と述べた。
乾式貯蔵施設の概要
乾式貯蔵施設は、使用済み核燃料を金属容器に封入し、空気冷却で保管する施設。関西電力は福井県内の原発から出る使用済み燃料の貯蔵容量逼迫を受けて計画を進めているが、県外搬出の前提となる再処理工場の完成見通しが立たず、着工判断が難航している。



