食品消費税1%、先送りより撤回決断の時 自民党内からも反発
食品消費税1%、撤回決断の時 自民党内反発

野党の賛同を得られないどころか、自民党内からも反発が出始めた。食料品の消費税減税の撤回を決断すべき時だ。

社会保障国民会議での結論持ち越し

政府と与野党でつくる「社会保障国民会議」の実務者会議が、食料品の消費税率を2027年4月から2年間、8%から1%に引き下げる自民党案について、結論を持ち越した。月末にも判断するという。

財政規律派とされる自民党の小渕優子・元選挙対策委員長が、税制調査会の幹部職を辞任したいとの意向を漏らしていることが明らかになった。他にも、自民党議員から「消費税を上げたり下げたりすれば、社会が混乱する」といった批判もあり、先送りを余儀なくされる情勢となっている。

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財源喪失と市場の懸念

自民党案を実施すれば、年6000億円規模の給付を含めて、年5兆円規模の財源を失う。それなのに、政府・与党は、具体的な代替財源を年末の予算編成まで示さないという。極めて無責任だ。

長期金利の利回りが先週、30年ぶりの高水準を記録したのは、市場が高市政権の財政政策を懸念したためだとみられている。

首相の姿勢と野党の反対

高市首相は、8月初めまでに消費減税の方針を決定し、秋の国会で関連法案を成立させる姿勢を崩していない。だが、2月の衆院選で消費減税を掲げた野党も、今は1%案に反対を強めている。

1989年の消費税導入時には国民の反発が強かった。竹下内閣は退陣に追い込まれ、自民党税調会長だった山中貞則氏は、翌年の衆院選で落選した。税率を引き上げた橋本内閣も、参院選での自民党大敗を招いて総辞職した。こうして時々の政権が政治生命をかけて取り組んだことで、消費税は社会保障を支える安定財源になった。首相に先人のような覚悟はあるのか。一度下げた税率を元に戻すのは国民に増税と映り、批判が強まることも予想される。

首相は先の衆院選で、自民党単独で3分の2超の議席という安定した政治資産を手にしたのに、安易に税率を下げて、元に戻そうとすれば政権の体力を失うことにもなりかねない。

新たな給付制度の導入

一方、実務者会議は、中低所得者を支援する新たな給付制度を2029年度から導入することで大筋合意した。新たな給付制度は、給付付き税額控除のうち、給付を先行して導入するものだ。恒久的な制度とする以上、財源の議論を後回しにせず、給付額や対象者を慎重に検討していくことが欠かせない。

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