中国が米国産の液化天然ガス(LNG)に対する関税を引き上げる方針を固めたことが、複数の関係筋の話で明らかになった。これは、米中貿易摩擦を巡る協議において、中国側が交渉カードを強化する狙いがあるとみられる。
関税引き上げの内容と影響
関係筋によると、中国は米国産LNGに対する関税を現行の25%から30%に引き上げる検討を進めている。この措置は、米国が中国製品に対する追加関税を発動したことへの対抗措置の一環とされる。中国のLNG輸入に占める米国産の割合は約5%と限定的だが、エネルギー分野での牽制材料として活用する戦略とみられる。
中国は世界最大のLNG輸入国であり、2023年の輸入量は約7100万トンに上る。一方、米国は2023年に約8000万トンのLNGを輸出しており、そのうち中国向けは約400万トンだった。関税引き上げにより、米国産LNGの価格競争力が低下し、中国の調達先がオーストラリアやカタールなどにシフトする可能性がある。
貿易摩擦の行方
米中両国は、2020年1月に「第1段階の貿易合意」に署名し、関税引き下げや追加関税の停止で合意した。しかし、その後も両国の対立は続いており、特に先端技術分野での規制強化や安全保障上の懸念から、関係改善の兆しは見えていない。中国商務省の報道官は「米国が一方的な制裁を続けるなら、中国は必要な措置を取らざるを得ない」と述べている。
専門家は、今回のLNG関税引き上げは、米国に対して譲歩を引き出すための戦術的な動きと分析する。一方で、エネルギー安全保障の観点から、中国は調達先の多様化を進めており、ロシアからのパイプラインガス輸入も増加している。
今後の展望
米国産LNGへの関税引き上げが実施されれば、米国のLNG輸出業者にとっては打撃となる。米国LNG輸出企業の関係者は「中国市場は重要だが、他のアジア市場への販売も可能だ」と述べ、影響を最小限に抑える方針を示した。中国のLNG需要は依然として堅調であり、2024年の輸入量は前年比で約10%増加する見通しだ。
米中両国の貿易交渉は膠着状態が続いており、今回の関税引き上げが新たな緊張を生む可能性がある。中国政府は「米国が関税を撤廃すれば、中国も対抗措置を解除する用意がある」としているが、具体的な進展は見られない。



