三菱電機は、宇宙事業を中核的な成長分野として位置付け、レーザー通信技術や小型衛星の開発を加速させている。同社は2030年度までに宇宙関連事業の売上高を3000億円に引き上げる目標を掲げており、官需と民需の両面で事業拡大を図る。
レーザー通信でデータ伝送を革新
三菱電機が注力する技術の一つが、レーザーを用いた衛星間通信である。従来の電波通信に比べて、レーザー通信はデータ伝送容量が格段に大きく、遅延も少ない。同社は2023年に低軌道衛星間でのレーザー通信実験に成功しており、実用化に向けた技術検証を進めている。この技術は、地球観測衛星が取得した大量のデータをリアルタイムで地上に伝送することを可能にし、防災や農業、都市計画などの分野での活用が期待される。
三菱電機の宇宙システム事業部長は、「レーザー通信は今後の宇宙インフラに不可欠な技術だ。我々は世界トップレベルの技術力を活かし、国際競争を勝ち抜く」と述べている。
小型衛星で市場開拓
また、同社は小型衛星の開発にも積極的だ。従来の大型衛星に比べ、小型衛星は開発期間が短く、コストも低いため、民間企業や新興国からの需要が高まっている。三菱電機は、100キログラム級の超小型衛星「MDSAT」シリーズを展開し、地球観測や通信サービス向けに販売を強化している。2024年には、ベンチャー企業と協業し、小型衛星によるIoT(モノのインターネット)サービスを開始する計画だ。
三菱電機は、これらの取り組みを通じて、宇宙事業の売上高を現在の約2000億円から2030年度に3000億円へと50%増加させることを目指す。同社は、宇宙事業を「第2の創業」と位置付け、全社を挙げてリソースを投入している。
国際協力と人材育成
三菱電機は、国際的な宇宙開発プロジェクトにも積極的に参画している。米国航空宇宙局(NASA)や欧州宇宙機関(ESA)との協力を通じて、技術力の向上と市場開拓を図る。また、国内では大学や研究機関と連携し、宇宙工学の人材育成にも力を入れている。
同社は2025年度までに、宇宙事業関連の技術者を現在の1.5倍に増やす計画だ。宇宙事業部長は、「人材への投資が将来の成長を決める。優秀な人材を確保し、革新的な技術を生み出していく」と強調した。
競争激化と課題
宇宙事業は、世界的に競争が激化している。米国のスペースXや中国の国営企業などが低価格な打ち上げサービスを提供しており、三菱電機は差別化が求められる。同社は、高品質な国産技術と顧客ニーズに応える柔軟な対応で競争力を維持する方針だ。
さらに、宇宙事業は巨額の投資が必要であり、収益化までに時間がかかるという課題もある。三菱電機は、官需を安定収益の基盤としつつ、民需の拡大で成長を加速させる戦略を描く。



