測量技術の進化で相次ぐ山城跡の発見、兵庫県内で1300超の城跡
測量技術の進化で山城跡の発見相次ぐ 兵庫県内1300超

兵庫県内には、奈良や京都などの都に近く、古代から交通の要衝だったことから、多くの城跡が存在する。一般に名の知られていない山城も含めると、その数は1300を超える。さらに近年、測量技術の進化などにより、新たな城跡の「発見」が相次いでいる。

50センチ間隔の立体図で「デジタル踏査」

パソコンのモニターに表示された山間部の地形図。地表の高低差を赤、黄、緑、青の色合いとその濃淡で立体的に示している。ところどころに赤い色が広がり、尾根が走っているのが見て取れる。県立考古博物館(播磨町)学芸員の永惠裕和さん(40)は「尾根が不自然に切れているところで山城の跡が見つかることが多い」と画面を指して話す。

この地形図は、県が航空機で県全域をレーザー測量したデータをもとに作られている。50センチ間隔で地表の高低差をとらえており、おもに都市計画、土木、防災、林業などの分野で活用されてきた。土塁や土橋、堀など山城の跡を特徴付ける地表の起伏も図上に見て取れる。2025年には、このデータでたつの市の山間部にそれらしき起伏を見つけ、現地を調査。南北朝時代のものとみられる山城の跡を確認したという。

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永惠さんは「『デジタル踏査』と呼び、これまで史料や口承、あるいは地名を頼りに探し出していた城館跡を地図上で見当が付けられるようになった。今後、県内だけで新たな山城の跡が100以上見つかる可能性だってある」と話す。

一般公開されたデータが「革命」をもたらす

こうした測量データは今や専門家だけのものではない。県は2020年、全国の都道府県に先駆けて県全域の「高精度3次元地理空間データ」を一般向けに公開し、山城や古墳の遺跡調査など様々な分野での応用を促している。

朝来市議の横尾正信さん(76)は、このデータを山城の「捜索」に活用している一人だ。この2年間に同市内の山域数か所に山城とみられる痕跡を見つけ、現地に確認に出向いたという。元々、山城を探し歩くのが趣味で、同市内の尾根はほとんど歩いてきたと自負するが、「今までは麓から山の形を見て、『あの辺りに山城があったのでは』と推理していくしかなかった。地図上で当たりを付けられるのは革命だ」と話す。

SNSでは、県の公開したデータで、播磨や淡路などの地域で山城を見つけたという投稿が目立つ。

遺跡地図への登録と地域の歴史議論

現在、県内にある城館遺跡は、姫路城や竹田城など国の史跡となっているのが22か所。このほか、県が定期的に更新する遺跡地図(2020年版)には、古代の山城から近代の台場まで1337か所の城館遺跡が登録されている。その数に、測量データをきっかけに見つかった山城のいくつかが加わろうとしている。

永惠さんは「実際に山の中の城跡が、遺跡地図に登録されるかは、市町の職員による現地確認や、場合によっては発掘調査も必要になり、そう簡単ではない」と説明。「それでも、あそこに城があったとかないとかの議論を、より多くの人が加わって繰り広げる。そこのこと自体に大きな意義があり、地域の歴史を読み解いていくことにつながっていく」と話している。

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