佐渡島の南端に位置する小木半島には、火山活動や地震による隆起と浸食が生み出した独特の景観が広がっている。「火星のよう」と例えられる荒々しい赤茶色の岩場が続く宿根木海岸や、観光客に人気のたらい舟、屈指の絶景スポットとして知られる万畳敷など、見どころが多い。
地震が生んだ景観と文化
佐渡ジオパークガイド協会の会長で、「佐渡自然塾」代表の相田満久さん(62)は、小木半島の魅力について「先人たちは自然のエネルギーをうまく活用し、たらい舟などの独特な生活文化を生み出した」と語る。
歴史を遡ると、1802年に小木半島沖で発生した「小木地震」により海岸線が最大で2メートル以上隆起し、磯舟が入り江に入れなくなったことから、楕円形で小回りの利くたらい舟が生まれた。浅瀬にごつごつした岩場が形成されたのも、地震による隆起の影響だ。
万畳敷の夕暮れは「ウユニ塩湖のよう」
潮だまりに水が張り、水面に雲や夕日が鏡のように映り込む景勝地・万畳敷も、この地震がもたらした観光資源の一つ。波の浸食でできた平らな海底「波食台」が隆起して生まれた場所で、佐渡ジオパークガイド協会によると、波食台の広さは島内で最大という。
半島の沢崎海岸付近にあり、足を踏み入れると一面に岩場と海面が広がり、心地よい波音も相まって没入感を味わえる。特に夕暮れ時がおすすめで、オレンジ色に染まった空が水面に映り込み、幻想的な景色が楽しめる。「まるで(南米・ボリビアの)ウユニ塩湖のようだ」とSNSなどで話題になり、海外から訪れる観光客もいるという。
今も現役のたらい舟漁
一方、たらい舟を使った漁は現在も行われており、岩ノリやワカメ、サザエなどをとるために使われている。ジブリ映画「千と千尋の神隠し」で、千尋が乗った舟のモデルにもなったとされる。
大きな樽を半分に切ったような形状をしていることから「はんぎり」とも呼ばれ、船頭が巧みに操るたらい舟への乗船体験は、佐渡観光の定番になっている。



