人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った心筋細胞シート「リハート」は今年、条件・期限付き承認を受け、9月1日から公的医療保険が適用される。価格は患者1人当たり5320万円。開発した大阪大発バイオベンチャー「クオリプス」の草薙尊之社長は、同社の現在地を、親の支援を離れて自ら稼ぎ始める「新入社員」に例える。
承認はゴールではなく出発点
承認と薬価はゴールではなく、患者への提供と有効性の検証を始める出発点。9月下旬にも保険診療で第1例の移植を行い、3年以内に75人に届け、4年目の本承認申請を目指す。ただ、実施施設や患者を確保し、生きた細胞を安定して作り、事業を黒字化する難関が待つ。
「ここから本番」――条件・期限付き承認と薬価決定をどう受け止めるか
これまでの8人の治験で重大な安全性上の問題はなく、有効性も期待できると評価され、条件・期限付き承認を受けた。いきなり本承認は難しいと思っていたので、当然の結果だと受け止めている。ただ、非常に大きな一歩だ。
薬価は国の算定ルールに沿って決まったもの。与えられた価格の中で、安定供給と事業の持続性を両立しなければならない。それが経営者の役割で、無駄な支出を省き、製造を工夫してコストを下げ、収益性を確保していく。
「ようやく就職した新入社員」――クオリプスはどんな段階に入ったのか
人に例えれば、ようやく就職した新入社員だ。今までは株主など多くの方の支援を受けて研究開発を続けてきた。これからは自分たちで売り上げと現金を生み、黒字化を目指さなければならない。独立した企業になれるかどうかの、大きな第一歩だ。
患者への提供はいつ始めるのか
9月1日の保険収載後、医療機関への説明や医師の研修、事務手続きをできるだけ早く進める。9月下旬にも1例目の実施を目指し、1例ずつ移植を始めたいと考えている。



