大人になると時間が速く感じる科学的理由とは?内的時計と記憶の影響
時間が速く感じる科学的理由と記憶の関係

「ついこの前、年が明けたと思ったのに、もう年末――」そんな感覚に陥ることはないだろうか。子どもの頃は長く感じられた1年が、大人になるとあっという間に過ぎ去っていく。しかし、時計の針の進み方が速くなっているわけではない。実は私たちが感じる「時間の長さ」は、脳の働きや記憶、日々の過ごし方によって大きく変化するという。

脳の中の「内的時計」が時間を刻む

年齢を重ねるにつれて「時間がどんどん速くなる」と感じる人は少なくない。この不思議な変化は単なる思い込みではなく、心や脳のはたらきに関わる理由が隠れている。例えば、楽しい時間はあっという間に過ぎる。これは物理的な時間とは関係なく、心が生み出す時間の特徴だ。

時間知覚の研究には「内的時計」というモデルがある。脳のどこかでパルス(信号)が一定のリズムで発信され、その蓄積量を手がかりに「これくらい経った」と見積もる。パルスが多く溜まれば「長かった」、少なければ「短かった」と感じる。パルスの発信場所はまだ特定されていないが、体内のどこかにあることは確かだと、山口大学時間学研究所元所長で電波天文学・宇宙物理学を専門とする藤沢健太氏と、日本時間学会会長・千葉大学教授で実験心理学を専門とする一川誠氏は説明する。

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面白いのは、このパルスの発信頻度が体の状態によって変わることだ。体温が高いときや代謝が活発なときは発信頻度が上がり、同じ1分間でもパルスが多く溜まるため「長く感じる」。逆に体温が低いときや代謝が落ちているときはパルスが少なくなり「短く感じる」という。

狭い空間だと時間を短く感じる

時間知覚には空間の広さも影響する。狭い空間にいると時間が短く感じられる傾向がある。これは、視覚的な情報量が少ないため、脳が処理する情報が減り、内的時計のパルス蓄積が少なくなることが一因と考えられている。逆に、広い空間や新しい場所では情報量が多く、時間が長く感じられる。

記憶が多い人ほど、時間は豊かに感じられる

子ども時代の1年が長く感じられる理由の一つは、記憶の量にある。子どもは毎日新しい経験をし、多くの記憶を形成する。この記憶の多さが、過去の時間を長く感じさせる。一方、大人になると日常がルーティン化し、新しい記憶が少なくなる。その結果、振り返ったときの時間が短く感じられるのだ。

藤沢氏と一川氏は、時間を豊かに感じるためには、新しい経験を積極的に取り入れ、記憶を増やすことが有効だと指摘する。旅行や趣味、学習など、日常に変化を取り入れることで、時間の流れがゆっくりに感じられるようになるという。

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