大人になると時間が速く感じる科学的理由:代謝低下と空間感覚の変化
大人になると時間が速く感じる理由:代謝低下と空間感覚

体内時計のパルスが減ると時間が加速する

「気がついたら1年の半分がもう終了してしまった…」と感じる大人は多い。この感覚には科学的な理由がある。山口大学理学部教授で時間学研究所元所長の藤沢健太氏と、千葉大学大学院人文科学研究院教授で日本時間学会会長の一川誠氏が解説する。

加齢に伴い代謝が落ち、体温も低下する傾向がある。体内時計のパルス発信頻度が減ると、同じ1時間でも蓄積されるパルス量が少なくなる。その結果、自分の感覚では30分程度しか経っていないように感じても、実際には1時間経過している。「時間があっという間に過ぎる」という感覚はこうして生まれる。

空間の広さも時間感覚に影響

時間を短く感じる原因として、空間感覚の変化も挙げられる。人は自分の体を「物差し」にして空間を判断する。大人と子どもが同じ場所にいても、体が小さい子どもはより広く感じる。例えば、子どもの頃に通っていた小学校を大人になって訪れると、教室や机がとても小さく見える。これは記憶が歪んでいるのではなく、子どもの頃は体が小さかったため同じ空間をより広く感じていたからだ。

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広い空間にいると時間は長く感じ、狭い空間だと短く感じる傾向がある。これも、子どもの時間が長く感じられる理由の一つである。

「初めて」の体験が減ると時間は短くなる

「初めて」の体験の減少も大きなポイントだ。子どもは多くのことを「初めて」として経験する。新しい体験は注意を引きつけ、細かく処理され、記憶に残る。しかし大人になると「初めて」は減り、新鮮さも薄れていく。

子どもは落ち葉を蹴り、水たまりをのぞき、アリの行列に見入る。一方で大人は、目的地に向かってまっすぐ前を見て歩く。子どもにとっての「帰り道」はいくつもの出来事の集まりだが、大人にとっては「移動」という一つのかたまりにすぎない。子どもの時間が豊かに感じられるのは、世界への好奇心が旺盛だからだ。

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