ギフチョウの発見で知られる昆虫学者・名和靖(1857~1926年)の没後100年の特別展が、名和記念昆虫館(岐阜市大宮町)で開かれている。昆虫館は名和が開設した標本庫で、一般公開は初めて。特別展では、名和の研究成果とその縁で入手した記念の品々が展示されている。
名和靖の生涯と功績
名和は、本巣郡船木村(現在の瑞穂市)出身。1882年、岐阜県農学校(現在の県立岐阜農林高)を卒業し、同校の博物学助手として採用され、翌年、郡上郡祖師野村(現在の下呂市金山町祖師野)でギフチョウを発見した。
教べんを執る傍ら、農家を助けたいとの思いから、全国を訪ねて講演し、害虫と益虫の区別を広め、害虫の防除法も指導した。1896年には教職を辞し、岐阜市内に昆虫研究所を設立した。研究所はその後、岐阜公園に移転、博物館や昆虫館も開設された。
特別展の見どころ
特別展で展示されている六角堂は、聖徳太子が京都に開いたとされるもののミニチュアで、唐招提寺(奈良県)の柱だったヒノキ材が使われている。名和は全国の文化財のシロアリ被害を調査し、防除法を指導しており、同寺で保管されていたヒノキ材を譲り受け、著名な宮大工が作ったという。
また、大正天皇が皇太子時代に来館した際に用意したチョウやガの鱗粉を貼り付けて飾った屏風や、農作物につく害虫の標本を出品して金賞を受賞した、米セントルイス万博(1904年)のメダルなど、研究の成果の数々も展示されている。
名和記念昆虫館の概要と開催情報
昆虫館は1907年に建てられた。建築家・武田五一の設計で、岐阜市の重要文化財に指定されている。館内には約300箱約30万点の標本が収蔵されており、未整理の資料も多い。
博物館の名和哲夫館長は「特別展は靖の人生を知ってもらうだけでなく、縁のあった人や資料にも光を当て、情報を寄せてもらうことも目的」と話している。
特別展は31日まで。入場料は高校生以上1000円、4歳以上500円。



