13年ぶりに復活したフジテレビ系ドラマ『救命病棟24時』(毎週月曜21:00~)。1999年の第1シリーズから27年が経過し、医療技術の進歩だけでなく、救命救急の現場で働く人々を取り巻く環境や仕事観も大きく変化している。今作では、働き方改革や世代ごとに異なる仕事観、13年の空白期間に起きた新型コロナウイルス禍など、現代の医療現場が抱えるリアルな葛藤を物語に反映する。足立遼太朗プロデューサーに狙いと、江口洋介、松嶋菜々子らが挑む医療シーンの舞台裏を聞いた。
単純な世代対立にしない医療現場のリアル
医師に時間外労働の上限規制が適用されたのは2024年。コロナ禍もあり、他業界に比べて本格的な働き方改革のスタートが遅れた医療現場では、今まさに試行錯誤が続いている。
足立氏が病院を取材すると、若手医師の中には「効率よく働きたい」と考える人もいれば、「もっと働いて技術を身につけたい」「何時間でも働ける」という人もいた。中堅世代にも、ワークライフバランスの改善を歓迎する人と、「このままでは若い医師が昔ほど育たないのではないか」と危機感を持つ人がいる。
今作では、“若者は効率重視”“ベテランは長時間労働を良しとする”という単純な世代対立にはしなかった。それぞれ異なる働き方や価値観を持つ人物を配置し、現場にある複雑さをそのまま描こうとしている。病院への取材も、第1シリーズから医療監修を務める日本医科大学付属病院高度救命救急センターに加え、複数の医療機関で実施した。
足立氏は、働き方改革という制度は一つでも、「働き方は人の数ほどある」と捉える。体力や仕事への意欲、人生で仕事をどこに置くかは人によって異なるからこそ、「正解は一つです」とは描かず、制度を現場へ当てはめる難しさや葛藤を映し出したいと考えた。
テレビドラマには“分かりやすさ”が求められる面もあるが、足立氏は現在の視聴者について「エンタメ感度が上がっている」と感じており、必ずしも一つの答えを提示する必要はないと考える。「今、リアルはこうなっている」と視聴者へ投げかけ、考えるきっかけを作ることもテレビの役割だと捉えている。
進藤一生も太刀打ちできなかったコロナ禍「避けて通れない」
もう一つ、13年ぶりの新シリーズを作る上で「避けて通れない」と考えたのが、2020年からの新型コロナウイルスの感染拡大だった。
医療従事者への取材では、「一番思い出したくない」と話す人もいるほど、過酷だった当時の状況が語られた。現場の疲弊によって医療から離れた人や、自分たちの仕事の意味そのものを見失いかけた人もいたという。
それでも医療関係者から、「あの時代を『救命病棟24時』で見せることには大きな意義がある」と背中を押され、コロナ禍を物語に組み込むことを決めた。
かつて数々の窮地を乗り越えてきた天才外科医・進藤一生(江口)であっても、コロナ禍では思うように太刀打ちできなかった。足立氏は、進藤を単純な“スーパーヒーロー”として描くのではなく、「コロナ禍にいた一人のリアルな医師」として存在させたかったという。
過去シリーズから変わらない進藤の信念を残しながら、それだけでは乗り越えられない現実も描く。そこにも、2026年に『救命病棟24時』を復活させる意味が込められている。