フジテレビは10月8日、吉田鋼太郎主演のスペシャルドラマ『きんつくろい-金繕い-』(後10:00)を放送することを決定した。本作は、世界的な評価を得ながらも人里離れた工房で孤独に暮らす家具職人と、将来に悩む大学生が割れたウイスキーグラスをきっかけに出会うことから始まる、世代を越えたヒューマンドラマだ。
金継ぎとウイスキーがつなぐ再生の物語
時間をかけて熟成するウイスキーと、割れた器を修復する「金継ぎ」を通して、長い間止まっていた人間関係と人生の時間を丁寧につなぎ直していく。壊れたものは完全には元に戻らなくても、新たな形で直すことができるという希望を描く、切なくも温かな再生のラブストーリーとなっている。
吉田鋼太郎が演じる主人公は、若くして夢を追ってイタリアに渡り、日本人として初めて権威あるデザイン賞を受賞するなど、国内外で高い評価を得た家具職人・柊恒一。輝かしい成功の裏で、自らを一人前だとは思えていない。若き日にイタリアへ渡る際、ひそかに恋心を抱いていた同級生・薫と「一人前になったら、必ず帰ってくるから」と約束したが、その約束は果たされないまま時が過ぎた。現在は創作意欲も失い、家具の修理を請け負いながら日々の暮らしをしのいでいる。
大学生との出会いが運命を動かす
頑固で不器用、感情を表に出すことが苦手な柊のもとを、ある日、就職活動中の大学生・守谷夏樹が訪ねてくる。夏樹が「祖母の大切なものを壊してしまったので、直してほしい」と差し出したのは、割れたウイスキーグラス。食器の修理は受けていないと追い返そうとする柊だったが、夏樹がかつて大切に思っていた女性・薫の孫であることに気づく。
割れたグラスを金継ぎで修復する時間の中で、夢をかなえたはずなのに過去にとらわれる柊と、就活中でまだ何者でもない自分の未来に迷う夏樹は、少しずつ互いの心を通わせていく。戻らない時間、壊れてしまった関係、伝えられなかった思い。長い時を経て、彼らはそれぞれの人生をどのようにつなぎ直していくのか。
吉田鋼太郎が語る役への挑戦
本作を象徴するのは、割れた器を漆と金で修復し、傷跡を含めて新たな姿へと生まれ変わらせる「金継ぎ」。一度壊れてしまった人間関係が、長い時間を経て再びつながっていく姿を描き出す。また、「金継ぎ」とともに重要なキーアイテムとなるのが、40年前と現在をつなぐ「ウイスキー」だ。自身も酒好きとして知られる吉田鋼太郎が、ウイスキーと金継ぎされたグラスを介して自らが選んだ人生と、そこに刻まれた傷に向き合っていく主人公を表現する。
吉田は、俳優・演出家として活躍し、舞台では「彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd」で芸術監督を務める。映像作品では、連続テレビ小説『花子とアン』(2014年/NHK)、『東京センチメンタル』(2016年/テレビ東京系)、『おっさんずラブ』シリーズ(2018年・2019年/テレビ朝日系)、大河ドラマ『麒麟がくる』(2020年/NHK)、『柳生一族の陰謀』(2020年/NHK BSプレミアム)、『おいハンサム!!』シリーズ(2022年・2024年/東海テレビ・フジテレビ系)、『ヤンドク!』(2026年/フジテレビ系)など、数々の作品で強烈な存在感を放ってきた。俳優歴40年以上を誇る吉田が、本作で初めて家具職人役に挑み、フジテレビ系列のドラマで主演を務めるのは『おいハンサム!!2』以来、2年ぶりとなる。
吉田は今作のオファーについて「主演でお話をいただいたので、びっくりしました。“やろう、やりたい、やるぞ!“と気合が入りました」とコメント。台本については「とても、いい意味でゆったりとした流れの台本で、それぞれの登場人物の感情の流れを丁寧に追っていく物語だと感じました」と語った。
自身が演じる柊恒一との共通点については「柊という人物に共感できるのは、自分では納得いってないけれども、人が求めるものを作ってくれと言われて作っていく中で、実は自分が本当にやりたいことではないと葛藤する部分です。僕らの仕事にも、そういう時があったりするので」と明かした。
家具職人を演じる上での心掛けについては「家具職人であり、割れたグラスを金でつないでいく金継ぎの職人でもあるので、職人としてのリアリティを持って演じるために、どれくらい準備をすればいいのだろうと思っています。僕は実はとても手先が不器用で、小学校の工作の課題もまともにできた試しがありません。自分とはすごくかけ離れた役ではありますが、そういうものにも挑戦しなければいけないと思いまして。準備はなかなか大変ですが、やりがいはあると思います」と語った。
「お酒」の存在については「お酒は大好きで、20歳からずっと飲んでいます。やっぱりリラックスする時、仕事が大変な時に飲みますね。いろんな緊張や、頭も体もハイになっている状態が、お酒を飲むとふっとほどけていく。そういうためにも必要なものです」と話した。
若い世代の悩む姿については「僕らの時代と比べると、今の20代の方はとても正直で、いい意味で臆さないというか、照れたり恥ずかしがったりしないですね。ストレートに物事を伝えてくれるので、とても話しやすいです。彼らが悩みを克服して、これから大きくなっていく姿を目の前で見ていると、“この人たちの時代なんだな”と思います。ちょっと悔しいですけど(笑)」とコメント。
視聴者へのメッセージとして「心がざわつくようなことが多い時代ですが、その中でとってもゆったりと心に染み入る作品です。ウイスキーのように、ゆっくりと体の中に染み渡っていくようなストーリーと登場人物たちのお話ですので、ここ最近では、なかなかお目にかかれないようなドラマになると思います。ぜひ楽しんでいただきたいです」と述べた。
スタッフ陣と第3弾の取り組み
本作は、フジテレビヤングシナリオ大賞の受賞者にオリジナルドラマ執筆の機会を提供する「ヤンシナ脚本家応援プロジェクト」の第3弾。未来の脚本家を育てるフジテレビと、サントリーがタッグを組み、受賞者が書き下ろしたオリジナル脚本をドラマ化する取り組みとして2024年に始動した。
今回も商品テーマに“ウイスキー”を掲げ、第33回フジテレビヤングシナリオ大賞で佳作を受賞した金民愛が、初めてテレビドラマの脚本を手がける。プロデュースは『愛の、がっこう。』(2025年/フジテレビ系)、『ナンバMG5』(2022年/フジテレビ系)などを手掛けた栗原彩乃。演出は『あなたがしてくれなくても』(2023年/フジテレビ系)、『新宿野戦病院』(2024年/フジテレビ系)、『最後の鑑定人』(2025年/フジテレビ系)などを手掛けた清矢明子。
金民愛は「自分が思い描いた物語が映像になること、とても感慨深く思っています。執筆中は迷うこともたくさんありましたが、プロデューサーや監督に温かく支えていただいたおかげで、最後まで大切に書きあげることができました。このドラマが、見てくださった方々にとって、大切な人やこれまで過ごしてきた大切な時間を振り返るきっかけになれたらうれしいです」とコメントしている。



