第42回読売書法展(読売新聞社、読売書法会主催)で、県内から多数の入賞・入選者が生まれた。このうち、調和体部門で読売準大賞を受賞した倉敷市の三宅教之さん(62)に喜びの声を聞いた。
初挑戦の調和体で栄冠
長らくかな文字を専門としてきた三宅さんだが、漢字を交えた調和体に初めて本格的に取り組んだ作品が受賞した。「まさかというのが正直な思い。多くの人が支えてくれたおかげです」と喜びを語る。
書いたのは、若山牧水が夏の富士山を詠んだ歌「めづらしくこの朝晴れし富士が嶺を藍色ふかき夏空に見つ」。書道講師として東京に行く際、新幹線から富士山を眺めるのがお気に入りだという。ある夏の日、歌に詠まれているようにくっきりとした富士山を見て、この歌を選んだ。
師匠の勧めで新境地
最初はかな文字で書いたが、師匠で文化功労者の黒田賢一さんから調和体を勧められた。縦向きの紙に書くことすらほとんどなく、当初は戸惑いがあったが、新たな挑戦を前向きに捉え、練習を含めると300枚以上書いて試行錯誤を重ねた。
余白の使い方を意識し、やわらかい線と力強く書き込む線のメリハリをつけた。「藍」だけは草書にする工夫も取り入れ、「紙と筆、心がふとひとつに溶け合う瞬間」を大切にし、最後の5枚ほどで出品作を書き上げた。
新たな引き出しを得て
指導で各地を飛び回る生活の中で、自分の作品に取り組めるのは早朝の限られた時間だけ。「書いている時は苦しさしかない」と語るが、今回の挑戦で新たな引き出しを手に入れた。「いくつになっても新しい学びを楽しむ気持ちで、探究心を忘れずに創作活動を続けたい」と決意を新たにした。



