全身オレンジ色の衣装に身を包み、満面の笑みで「やればできる!」と叫ぶお笑いコンビ「ティモンディ」の高岸宏行さん(33)。その言葉には、元高校球児としての経験と、恩師から受け継いだ信念が込められている。
恩師・上甲正典監督の教え「念ずれば花開く」
高岸さんは愛媛県の強豪校・済美高校で野球に打ち込んだ。当時率いていた上甲正典監督(2014年死去)がよく口にしたのは「念ずれば花開く」という言葉だった。上甲監督は、創部間もない済美を2004年の選抜大会で初優勝、夏の甲子園でも準優勝に導いた名将として知られる。
「夢や目標に強い気持ちをもって臨み、努力し、挑戦すれば、必ず花が開く」という教えを胸に、高岸さんは厳しい練習を乗り越えた。しかし、高校3年の夏、愛媛大会決勝でサヨナラ負け。最速140キロ超の右腕はベンチで終わった。
プロ断念、そして芸人の道へ
育成選手としてプロ入りする選択肢もあったが、上甲監督に「ほしがっている大学がある。そこでドラフト1位を目指さないか」と励まされ、東洋大学に進学。だが、3年時にけがでプロの道を断念することになる。
「頭が真っ白になった。でも、自分はまわりの応援があって野球を続けてこられた。感謝の気持ちが大きかった」と振り返る。そんな時、東日本大震災の復興支援に取り組むお笑いコンビ・サンドウィッチマンの姿に心を打たれ、「笑いで感謝を伝え、応援する側に回りたい」と決意した。
同期と歩んだ芸人人生
2015年、済美野球部で同期だった相方・前田裕太さんとコンビを結成。高校時代から共に汗を流した仲間と、今度は笑いの舞台で共演する。高岸さんは「やればできる」という言葉に、自分自身への励ましと、見ている人へのエールを込めている。
「あの言葉は、上甲監督から教わった『念ずれば花開く』がベースにある。自分が挫折を経験したからこそ、言い続けたい」と語る。現在も、野球で培った体力と精神力で、テレビや舞台で活躍中だ。



