石原さとみ主演『ポリティカルパン』第2話、弥生の逆転劇とルソー登場を解説
『ポリティカルパン』第2話、弥生の逆転劇とルソー登場を解説

石原さとみ主演、野木亜紀子脚本によるフジテレビ系ドラマ『ポリティカルパン』(毎週水曜22:00~)の第2話が14日に放送された。弥生の怪盗らしい鮮やかな手口が発揮された爽快な回だったが、その背後には、ジャン=ジャック・ルソーという政治哲学者の名とその書籍も登場した。

第2話あらすじ:雅の参謀・弥生と国自党の金庫番・夏目将門の戦い

お宝である“首相官邸内の金庫にある官房機密費”を盗み出すため、大泥棒の如月弥生(石原)が目を付けたのはニッポニア政界のキングメーカー・小早川士郎(草刈正雄)の娘・雅(河合優実)。弥生は政界に潜り込むために、謎の情報屋・乾(渡部篤郎)を仲間に引き入れて、雅を選挙に担ぎ上げ当選を狙う。雅が出馬する千羽17区は、もともと小早川家の地盤で、国自党の公認候補として雅の兄・颯(寛一郎)の出馬が決まっていた。

国自党をバックに潤沢な資金や組織力を持つ颯。一方、お金も組織も何もかもがない雅。兄と妹のきょうだい対決は、雅の参謀・弥生と、颯のフォローに駆り出された国自党の金庫番・夏目将門(高橋一生)の戦いでもあった。

そんな中、無所属の八巻徹(吉田ウーロン太)候補と共に出演したネット番組で、雅と颯は泥沼の兄妹ゲンカに。これがネット民に玩具にされ、悪い方向へとバズってしまう。雅をさらすような過去の恥や罵詈雑言の数々…。

弥生の逆転劇:英語力と資金不足を武器に

しかし弥生は、これを逆手にとる。雅が英語に堪能なことを利用し、イメージの大逆転を図ったのだ。これが大成功。さらに弥生は、実は先手も打っていた。選挙公示前にバラ撒かれた、「季節のご挨拶」という名の汚い金。颯への投票を促すためのものだったが、これを事前に、宝くじと入れ替えていたのだ。

雅の英語のギャップ作戦。そしてお金がないことを逆手にとった、走ってポスターを貼って回るパフォーマンス。そのイメージから来る「かわいそう」という国民の感情。すべてが功を奏し、雅はこの選挙を制す。だが、弥生と将門の化かし合いは始まったばかりだった──。

弥生は金を盗む前に、人々の視線を盗む

資金も組織も持つ兄・颯に対して、妹・雅には何もない。まともに競えば、勝ち目は薄い。ところが『ポリティカルパン』第2話で、雅の参謀となった大泥棒・如月弥生は、「何を持っているか」の勝負を「どう見えるか」の勝負へと変えてしまった。

ネット番組で繰り広げられたきょうだいゲンカは、雅への悪評を広める結果になった。過去の恥まで掘り返され、ネットの玩具にされる。候補者としては痛手だが、弥生にとっては、使い道のある状況でもあった。悪い方向に集まった視線も、視線には違いない。その聴衆の前で、雅の意外な一面を見せればいい。

そこで切り札になったのが、雅の英語力だ。すでに広まった人物像との落差を利用し、印象を反転させる。英語が堪能であることと、政治家としての能力は同じではない。しかし、ここで楽しむべきは、その能力を逆転の一手として配置する弥生の演出力だろう。失敗を帳消しにするだけでなく、失敗によって集まった注目まで、次の作戦に組み込んでしまう。

資金不足も同様だ。走ってポスターを貼りに回る姿は、組織力のなさを物語る一方で、懸命さや「かわいそう」という感情を生む。弥生は弱点を埋めるだけでなく、弱点の使い道を発見する。手持ちのカードが少ないなら、そのカードの価値が高く見える場を作ればいい。怪盗らしい知恵が、選挙の攻略法になっている。