「大阪城西の丸薪能2026」が10月31日と11月1日、大阪城天守閣を望む西の丸庭園(大阪市中央区)の特設舞台で開かれる。大阪・関西万博を機に地域の文化を広く発信している「大阪国際文化芸術プロジェクト」の一環。出演する観世流シテ方の人間国宝、大槻文蔵さんと芸養子の裕一さんに公演への思いを聞いた。
借景の魅力と万博の反響
2024年、25年に続き3回目となる薪能。借景が重要だという文蔵さんは「西の丸から天守閣までの距離、角度がちょうどいい。それこそ月が浮かべば最高の空間になります」と会場を評する。裕一さんは「万博開催中だった昨年5月の薪能は、とくに海外のお客さんが多かった印象がありました」と振り返る。
初日は源氏物語ゆかりの演目
初日は幻想的で優美な演目で構成し、2日目は力強くダイナミックな演目が並ぶ。初日を彩るのは「源氏物語」ゆかりの演目。能「半蔀」では、光源氏の恋人・夕顔の霊が恋の思い出を語り、舞う。演じる文蔵さんは「女性と花を重ねたような作品で、かれんさをどう出せるかが大事です」と語る。
裕一さんは、光源氏のモデルとされる源融を主人公にした「融」で初日を締めくくる。名月の夜、荒廃した邸宅に現れた融の霊がかつての隆盛を懐かしむ物語で、テンポの速い舞が追加される「舞返之伝」と呼ぶ小書き(特殊演出)で上演する。「見せ場でいかに美しく舞い、貴公子らしさを見せられるか。その上で、実際に月が出ていれば最高の状況ですね」とほほえむ。
2日目は力強い演目
2日目の冒頭は平安末期の武将、源頼政の霊を文蔵さんが演じる「頼政」。平家追討のために奮戦しながら自害した老将を描く内容で、「宇治川を挟み源氏と平家が激しくやりあう状況を語るのが一つの眼目」だという。天上から地獄の底までを映し出す不思議な鏡を持つ鬼神が現れる「野守」は、格調の高さが求められる小書き「白頭 天地之声」で上演する。鬼神を演じる裕一さんは「広い会場なので、壮大な世界観を重厚さ、力強さでしっかり伝えたい」と意気込む。
狂言と初心者向けの工夫
初日は和泉流狂言方、野村太一郎さんの狂言「鐘の音」、2日目には野村裕基さんの狂言「伊文字」も上演。初心者にも楽しめるよう、上演前にはあらすじを説明する紙芝居のような映像を流す。裕一さんは「ストーリーを知ると期待感が高まり、より楽しんでいただける。会場の臨場感とともに多くの人に味わってほしい」と話す。
両日午後6時30分開演。チケットは雨天時に会場を大槻能楽堂に変更した場合の振り替え席付きと、雨天時の払い戻し付きがある。



