芥川賞・小砂川チトさん、デビュー作舞台の尾去沢鉱山に感謝 秋田・鹿角市でも祝福の声
芥川賞小砂川チトさん、尾去沢鉱山に感謝 鹿角市も祝福

第175回芥川賞(日本文学振興会主催)の受賞作が、小砂川(こさがわ)チトさんの「ゾンビ回収婦」(群像5月号)に決定した。小砂川さんのデビュー作「家庭用安心坑夫」で描かれた「尾去沢鉱山」がある秋田県鹿角市からは、「自分のことのようにうれしい」と祝福の声が上がった。

小砂川さん、会見で尾去沢に感謝

受賞決定後の記者会見で、小砂川さんは「1作目の『家庭用安心坑夫』では、秋田の尾去沢を取材して、モデルにさせていただいた。東北のいろんな場所で想像していた以上に温かく応援していただくことがあり、うれしく思っております」と述べ、尾去沢への感謝を語った。

小砂川さんは2022年に「家庭用安心坑夫」で群像新人文学賞を受賞しデビュー。同作には尾去沢鉱山のほか、跡地を活用したテーマパーク「マインランド尾去沢」(現・史跡尾去沢鉱山)や、坑道内に置かれているマネキン人形が登場する。盛岡市出身の小砂川さんは子ども時代にマインランドに何度か訪れた経験があり、小説執筆にあたって改めて取材に訪れたという。

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鹿角市立花輪図書館では即座にポップ掲示

作品の舞台となった縁から、鹿角市内では小砂川さんの受賞を待つ人々がいた。市立花輪図書館では15日夜、受賞の知らせが入ると事務室で拍手が起こった。すぐに事前に用意していた「芥川賞決定!」と書かれたポップを、受賞作と共に入り口近くに掲示した。同館では「家庭用安心坑夫」の単行本を2冊所蔵し、普段は1冊を「郷土資料」コーナーに並べている。

同館の小林光代館長(72)は「芥川賞の発表をこんなに楽しみに待つのは初めてだった」と笑顔を見せ、「鹿角にゆかりのある小砂川さんの本を通して、人の輪がつながっていってほしい」と期待を寄せた。

地元ラジオパーソナリティも魅力を語る

同館主催の書評合戦「ビブリオバトル」で「家庭用安心坑夫」を紹介し優勝した地元コミュニティーラジオ局「鹿角きりたんぽFM」のパーソナリティー、兎沢三果さん(54)は、「尾去沢鉱山に抱いていた『夢うつつ』な感じを、小説として具現化してもらった」と同作の魅力を語った。受賞作「ゾンビ回収婦」についても「『小砂川ワールド』に度肝を抜かれた」と絶賛。選考会前日の14日朝には自身の番組で同作を紹介しており、受賞を受けて「地元の人にもっと読んでもらえるよう、また紹介したい」と話した。

鉱山支配人「坑道内のマネキンにも報告」

史跡尾去沢鉱山支配人の小田切健太郎さん(50)は「受賞の報告を坑道内の『ツトム』と思われる人形にもしておきますね。表情には出ないと思いますが、大変喜ばれることでしょう」とコメントした。

鹿角市の笹本真司市長も「デビュー作で史跡尾去沢鉱山を舞台に描いていただいたご縁に感謝。小砂川さんの作品で、本市など地域の魅力が広く伝わることを願っています」と述べた。

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