磐田市竜洋昆虫自然観察公園が今回紹介するのは、カメムシです。8月末頃に大量発生して果樹の汁を吸い、果樹農家を大いに悩ませています。(話・北野伸雄さん 記者・狩山晴帆)
カメムシの基本生態と臭いの役割
一般的にカメムシといわれる虫の仲間は、カメムシ目カメムシ亜目カメムシ下目に分類されます。カメムシは交尾をした後、十数個~数十個ほどまとめて葉の裏などに卵を産みます。卵から生まれて幼虫となり、何度か脱皮を繰り返して成虫となります。種類によりますが、母親が体内の栄養を含んだ無精卵を産んで食べさせたり、木の実を口にさして運んで食べさせたり、「子育て」をする種もいます。
においを発する印象が強いカメムシですが、いつも臭いわけではありません。胸部に臭腺が一対あり、敵から襲われるなど外部からの刺激を感知すると、体の表面にある臭腺の開口部からにおいを放出します。においの主成分は、アルデヒドなどの化学物質です。人間がカメムシをつかむと臭いにおいを発します。その際、手に茶色の色がつき、2、3日間残ることもあります。
においが臭いのは敵から身を守るのももちろんですが、仲間にエサがあることや危険を知らせる機能もあります。異性へのラブコールのためににおいを発しているとも言われています。においは種類によって異なり、青リンゴ臭いにおいを発するカメムシもいます。
果樹カメムシの種類と被害
カメムシ目は、世界では約10万7000種、日本では約3800種になります。西日本を中心に発生し、ツヤのある緑色をした「ツヤアオカメムシ」、全国に分布し、はねの一部が茶色の「チャバネアオカメムシ」、寒冷地で主に見られ、茶色の「クサギカメムシ」の3種は、8月末頃から大量発生し、果樹や果実の汁を吸い、被害を与える「果樹カメムシ」の代表です。県内ではツヤアオカメムシやチャバネアオカメムシが主に見られます。
カメムシは好きな植物の周辺に生息し、ほとんどの種で食べる植物が決まっています。果樹カメムシは、旬を迎えた実を食べ回っています。7~10月は、スギやヒノキなどの針葉樹の実を好みます。
カメムシの口は針状になっています。普段は体の下にしまわれていますが、エサを食べるときには口を伸ばして果実に刺し、汁を吸っています。
カメムシの寿命は半年以上です。春から秋に活動し、成虫のまま冬を越したあと、卵を産んで一生を終える種類が多いです。果樹カメムシも当てはまります。年に2回、卵を産む種類もいます。
美しいキンカメムシ科の仲間
カメムシ下目のキンカメムシ科のカメムシは、光沢があってキラキラしている。見た目が大変美しいため、人気がある。キンカメムシ科は南西諸島から本州にかけて見られ、国内には10種いる。
県内を含む本州に、主に生息しているのが「オオキンカメムシ」「アカスジキンカメムシ」「ニシキキンカメムシ」の3種。
アカスジキンカメムシは、縁に赤い筋が入っているのが特徴。山に生息していることが多く、山や林に行って木の葉っぱを探すと見つけられる。食べ物はミズキを好んでいる。
ニシキキンカメムシは、緑に赤色の模様がある。臭いが、少しフルーティーなにおいがする。幼虫のまま冬を越し、春に成虫となって卵を産む。県内でもツゲの木の近くなどで出会えるかもしれない。
オオキンカメムシは赤色をベースに黒い斑点模様がついていて、海沿いで見られることが多い。
2020年に全国的に発生し、今年も磐田市など本州で見かけられた「アカギカメムシ」もいる。