銀座八芳を運営するFANG DREAM COMPANYが、上野アメ横に新業態「海鮮市場 八芳」をオープンした。店内には全長25メートルにわたってアワビや霜降り牛などの高級食材がずらりと並び、客は好きな食材を選んで自分だけのしゃぶしゃぶや浜焼きを楽しむ「セルフスタイルしゃぶしゃぶ」を提供する。これは近年ブームの麻辣湯スタイルを高級食材に応用したもので、インバウンド客だけでなく日本人の「ちょっと贅沢したい」ニーズも取り込む狙いだ。
高級食材を自由に選べる「食のエンタメ」
海鮮市場 八芳は、市場で食材を選ぶ楽しさと本格的な飲食店の味を融合させた「食のエンタメ」をコンセプトに掲げる。代表取締役の内田幸男氏は「インバウンド客が8割を占める銀座八芳の延長線上で、日本ならではのしゃぶしゃぶや浜焼きと食材選びの楽しさを組み合わせた」と説明する。
店内には25メートルのカウンターが設置され、アワビ、霜降り牛、鮮魚、野菜など約50種類の食材が並ぶ。客はトレイに好きな食材をのせ、しゃぶしゃぶ用の出汁か浜焼き用の鉄板で調理する。価格はプレート1枚あたり野菜や一部の肉が300円、牛肉や魚介類は500~600円と、手頃な価格帯に設定されている。
インバウンド需要の変化に対応
内田氏は、今回の業態開発の背景にインバウンドニーズの変化があると指摘する。銀座八芳では「和牛」「海鮮」といった特定食材を目的に来店する客が多く、アラカルトニーズが相応にあると感じていた。また、「日本ならではの体験」に対する需要も根強く、食材選びから調理、SNS映えまでをトータルで提供する業態を考案した。
一方、日本人客もターゲットに含めている。内田氏は「日本人のお客様には、気軽に入れるしゃぶしゃぶ・火鍋店として楽しんでいただく想定」と話す。顧客単価は5000円程度を見込み、プチ贅沢な価格帯だが、安く抑えようと思えば1000円台から楽しめる設計だ。
既存のしゃぶしゃぶ店との違い
一般的なしゃぶしゃぶ専門店や鍋料理店はコース料理や食べ放題が基本で、「ちょっとだけいいものを食べたい」というニーズに応えきれていなかった。海鮮市場 八芳のセルフスタイルは、麻辣湯ブームで培われた「自分で選んで組み合わせる」楽しさを高級食材に応用した点が特徴だ。内田氏は「日本初と謳うセルフしゃぶしゃぶのスタイルは、そうしたニーズに合致している」と自信を見せる。
今後の展開と勝算
同店はインバウンド客の取り込みをメインとしつつ、日本人のリピーター獲得も視野に入れる。上野アメ横という立地は外国人観光客の来訪が多く、かつ日本人の買い物客も多いエリア。麻辣湯スタイルのしゃぶしゃぶという新ジャンルが、両方の客層に受け入れられるかが今後の鍵となる。
内田氏は「食材の鮮度と選ぶ楽しさで、他店との差別化を図る」と語る。銀座八芳のブランド力と、アメ横の立地を活かした新業態が、競争の激しい外食市場でどのような勝算を見せるのか、注目が集まる。



