体に良くないと知りつつ、あえて高カロリーや大盛りの飲食品を楽しむ「ギルティ(罪深い)消費」が若者を中心に広がっている。SNSの普及やコンプライアンス(法令順守)意識の高まりを受け、厳しい自己管理が求められる中、ちょっとした背徳感を味わうことで、ストレスから解放されたいとの欲求が背景にある。
居酒屋チェーンが「背徳グルメ」を続々投入
居酒屋チェーン「居心伝」は8月から「背徳グルメ ギルティ祭り」を開始。鉄板からあふれるほどチーズのかかったマカロニやマヨネーズで覆われたピザ、バニラアイスやチョコソースがかかったポテトフライなど、見るからに高カロリーの商品を提供している。
大阪市内の店舗を訪れた公務員の男性(24)は「月2回ほど背徳グルメに手が伸びる。仕事に疲れたなと思った時に食べることが多い」と話す。夫婦で来店した女性(30)は「チーズと揚げ物の組み合わせが好き。せっかくの外食なのでカロリーは気にせずに食べる」と語った。
同店の背徳グルメは税抜き400円台。運営会社マルシェ(大阪市)で企画を担当した島田雪さんは「物価高騰の中、手の届きやすい価格にした。売れ行き上位の定番メニューに匹敵する人気だ」と手応えを語る。
調査で見るギルティ消費の広がり
飲食店情報サイトを運営する「ぐるなび」が20~60歳代の男女1300人を対象に5月に実施した調査では、背徳グルメを「食べることがある」との回答は53・1%で、前回調査時(2022年)の39・0%に比べて14・1ポイント増加した。
「どのような時に食べるか」については、「食べることを楽しみたい時」(42・1%)が最多で、「ストレスを発散したい時」(36・5%)が続いた。
居心伝の来店客からは「夜中に背脂たっぷりのラーメンを食べると、満足感につながり、明日も仕事を頑張ろうと気持ちが切り替わる」(20歳代男性)、「たまには自分へのご褒美として食べたいものを食べて、ストレスを発散したい」(40歳代女性)との声も聞かれた。
各社が続々参入、今後の展望
こうした需要を取り込もうと、飲食各社が背徳グルメを相次いで投入している。サントリービバレッジ&フードは今年3月、果物やスパイスなど99種類以上の香りを混ぜ合わせ、甘みや酸味、塩味などが味わえる「ギルティ炭酸 NOPE」を発売。近年の新商品では最速となる発売150日で出荷本数1億本を突破した。
コンビニエンスストアのファミリーマートは今月15日から「背徳のチーズコンビニ飯」と題し、チーズをふんだんに使った豚焼き肉丼やおむすびなど6種類を販売した。
「頑張った自分にちょっとしたぜいたくを」と高級品を購入する「ご褒美消費」は近年定着した感がある。ニッセイ基礎研究所の久我尚子さんは「物価高騰で旅行などの大きなぜいたくが難しく、数百円から楽しめるギルティ消費が受け入れられている。今後は高糖質や高カロリーを後ろめたいものとして隠すのではなく、あえて背徳感を魅力として打ち出す動きが進むのではないか」と指摘する。



