平均年齢51歳のメンバーが男役や娘役になりきって踊る「歌劇ダンス」の華やかな姿を映したInstagramのリール動画に、「こんな素敵な世界があるなんて」「近所だったら入団したい」といった声が寄せられ、話題となっている。大阪の「eりぼん歌劇団」の講師と、実際に男役を演じる生徒に話を聞いた。
歌劇ダンスを始めたきっかけ
講師は、自身が歌劇団出身の恩師のもとで長年「男役」として舞台活動をしてきた経験から、「いつか大人の生徒さんたちで歌劇団を結成したい」という思いを温めていたという。スタジオではこれまで大人バレエやK-POPダンスなどを中心にクラスを展開してきたが、10周年の節目に歌劇団出身の講師とのご縁も重なり、その思いを形にする機会が生まれた。
歌劇の魅力について、講師は「レビュー、ラテン、和物、ボレロ、ラインダンスなど、歌劇には『エンターテインメントの宝箱』とも言うべき魅力があります」と語る。生徒にもその魅力に触れながら表現の幅を広げてほしいと話す。
男役に挑む苦労と新たな発見
男役を演じる生徒は、男役に必要な身体のラインについて「かっこいい」「凛々しい」と感じてもらえるよう、先生から脇を閉じず背面を意識するよう指導を受けているという。しかし「目で確認できる身体の前面にばかり気を取られてしまい、男役として舞台に立つ間、背面を意識し続けることが難しい」と苦戦を明かす。表情についても「目の奥に芯があり、娘役さんを包み込むような包容力や、色気を感じさせる表現」を目指しているが、理想とする男役像にはまだ遠いという。
一方で、娘役とのデュエットダンスやリフトを経験する中で「エスコートしなければ」という気持ちが芽生えたことに自分自身でも驚いたそうだ。「これまで生きてきたなかで、初めて感じた気持ちでした」と話し、今後もマインドや動き、仕草を研究しながら、娘役を自然にエスコートできる男役を目指したいと語った。
年齢を理由にしない挑戦
20代から60代まで幅広い年代が参加しているが、きっかけは「もともとバレエやダンスを習われていたところから興味を持ってくださった方や、SNSで活動の様子を見て飛び込んできてくださった方など、さまざま」だという。
講師は、大人の生徒の表現について「一人ひとりの人間性や、そこにある人生ドラマ、奥ゆかしさが見える瞬間です」と語る。「ずっと憧れていた」「一度は諦めてしまった」など、それぞれの事情を抱えながら通う生徒たちの「無垢で熱い想い」が踊りに表れた瞬間に感動すると話す。
スタジオでは年齢が全く関係ないことを常に感じるといい、今回のスタジオ公演では64歳の生徒がアリスの子ども時代の役を演じるという。「前向きな姿勢や挑戦する気持ちは、年齢を言い訳にしないこと――そもそも、年齢を『できる・できない』の条件にしない考え方から生まれるのだと実感しています」と語った。